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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年01月11日

高校選手権決勝 山梨学院大附×青森山田@聖地国立

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果てしない頂を目指す過程で積み重ねられた4173の敗北を経て、最後の勝者と最後の敗者を決める、最後の試合に辿り着いた2校。初出場初優勝を狙う山梨学院大附。15度目の出場で初優勝を狙う青森山田。聖地国立のスタンドには43635人が集結。最高の舞台で、ファイナルはキックオフを迎えました。最初のシュートは開始1分の山梨学院。ショートコーナーから碓井鉄平(3年)が果敢にミドルもボールはサイドライン外へ。4分、伊東拓弥(3年)の鋭いチェイスで奪ったボールを、宮本龍(2年)はミドルも当たり損ねて枠外へ。なおも5分、鈴木峻太(3年)が強引なミドル。8分にも平塚拓真(3年)が大きくクロスバーを越えるミドル。一見無謀にも思えるほど、とにかく目立った山梨学院の積極的なシュートチャレンジ。これは「青森山田の2トップは高い位置に残る。シュートまで持っていけば全体を下げられるから、少々遠くてもいいからシュートで終わろう」という横森巧監督の指示を忠実に遂行したもの。加えて、「最初飛ばし過ぎたなって思った」と振り返る伊東を筆頭に、素早いボールアプローチと、奪ったら縦へ縦へとチャレンジし続ける姿勢で、「とにかく前半が勝負。最初から目一杯」(横森監督)の山梨学院が完全にゲームを掌握します。10分にも伊東が華麗なドリブルからスルーパス、抜け出した佐野敬祐(3年)のシュートは青森山田GK櫛引政敏(2年)が防ぎますが、勢いは止まず。すると11分に国立沸騰。碓井がダイレクトで裏に出したボールを鈴木がリターンすると、再び受けた碓井はシュートを意識したトラップから右足一閃。直後、揺れたゴールネット。「青森山田が有利と言われていたので逆に燃えた」キャプテンの鮮やかな一撃。狙い通りの先制パンチで、山梨学院がリードを奪いました。さて、「立ち上がりに相手が来るのはわかっていたが、フワフワしているような状態」と黒田剛監督が評した序盤の青森山田。キャプテンの椎名伸志(3年)も「チームとしても個人としても多少雰囲気に飲まれた」と認めたように、ボールの収め所が定まらず、劣勢の時間が続きます。24分には中島龍基(3年)の左クロスに、野間涼太(3年)がニアに飛び込んで放ったボレーが最初のチャンス。注目のドイスボランチ、椎名と柴崎岳(2年)も相手のハイプレッシャーの中で、なかなか持ち味を出せず、1つのストロングであるサイドも、相手の執拗なまでの仕掛けを受けて後手後手に。「もっと仕掛けてくるかなと思っていた」とは山梨学院の左SB藤巻謙(3年)。20分以降は青森山田も多少は盛り返したものの、「10番は柴崎と言われていたが、年下なんで負けたくなかった」という“10番”伊東を筆頭に、凄まじい運動量で山梨学院が圧倒。42分、青森山田のチャンスでは遠藤竜史(3年)の縦パスに抜け出した成田鷹晃(2年)へ、エリア外に飛び出した山梨学院GK松田ラン(3年)がタックル。成田は転倒し、カードが提示されましたが、村上伸次主審の判断は黄色。このシーンにはヒヤリとしたものの、前半は山梨学院がほぼ完璧な45分間を披露してみせました。後半は力強いキープや、強引なまでのシュートチャレンジを見せた野間を推進力に青森山田が主導権を握りながらも、決定機を創り出すのは鋭いカウンターをチラつかせる山梨学院。52分には「何か結構打っちゃいました」と笑う藤巻が、準々決勝の決勝点を彷彿とさせるような、この日自身3本目のシュートとなる強烈なミドルをクロスバーへ。68分にはカウンターから3対3の状況で、伊東のサイドチェンジ、佐野のヒールパスを碓井が櫛引政にセーブを強いる左足での枠内シュート。2点目への匂いを漂わせます。青森山田反撃の第一手は69分。椎名のパスを柴崎が粘って上げたクロス、まったくのフリーだった成田のヘディングはゴール右へ。続いて73分には絶好の同点機。柴崎のCKから生まれた混戦の中、野間が至近距離からシュートを放つも、山梨学院GK松田が驚異的な反応で弾き返し、ゴールを割らせません。押し込まれる苦しい時間帯は山梨学院。オーバーペースとも取れそうな前半を考えれば、運動量の低下は懸念材料。それでも「最後まで走り切れる力はあると思っていた」と横森監督。76分、フィードがこぼれて成田の目の前へ。絶体絶命のピンチに足を出してクリアしたのは、前半の内に負傷した井上拓臣(3年)と交替で右SBに入った渡辺圭祐(3年・SC大阪エルマーノ)。指揮官も「井上は一番頼りにしているSBで、替わった右サイドから崩されるかと思っていたが、渡辺がよく守ってくれた」と賞賛。代役も輝きを放ちます。黒田監督も78分にはパワープレー要員として185センチのDF櫛引信敏(3年・ラインメール青森FC U-18)を最前線に投入。中盤も柴崎を頂点にしたダイヤモンドにして勝負に出ると82分、柴崎の左クロスを野間が落として、櫛引信がフィニッシュ。しかしここにはボランチの宮本が帰ってブロック。さらに87分に迎えたピンチには、浮き球にGK松田が飛び出すと、渡辺と中田寛人(3年)の2人が全速力でゴールカバー。落ちない運動量。加えて櫛引信を目がけたパワープレーにも「自分は競り合いの強さが持ち味なので」と語る関篤志(2年・FC東京U-15むさし)が粘り強く対応してシャットアウト。追加タイム4分間も1分1秒ずつ潰し切り、鳴り響いたホイッスル。「自分を信じて、仲間を信じて、勝利を信じて」(伊東)戦った末の戴冠。山梨県に、そして「過去3回と一番の違いは運があったこと。長い間の中にはそういったこともあるのかな」と微笑んだ横森監督に「自分たちができる唯一の恩返し」(伊東)として悲願の全国制覇をもたらしたのは、新鋭・山梨学院でした。   AD土屋


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