奇しくも日本代表が埼玉スタジアムで“絶対に負けられない戦い”に臨むのと日を同じくして、元日本代表監督のフィリップ・トルシエも西が丘で“絶対に負けられない戦い”に臨むことになりました。悪夢の開幕2連敗を喫したFC琉球。クラブ公式ブログを見る限り、金子達仁スーパーバイザーもかなりイライラを募らせているご様子です。今日の相手は前節アルテ高崎とスコアレスドローを演じた横河武蔵野。果たしてシーサーズは“今、そこにある危機”を脱することができるでしょうか。とは言ってみたものの、ゲーム自体はあらゆる面で“横河武蔵野フェスタ”になってしまいました。前半は20分過ぎから5分くらい琉球の時間帯がありましたが、あとは互角か、やや横河ペース。それでも「チバリヨ〜琉球！」というサポーターからのコールに応え、琉球イレブンも頑張っていたものの、後半開始早々の47分、前半の内に負傷した選手と替わって入った横河のルーキー岩田啓佑が、右サイドから30m近くはあるトンデモない無回転(たぶん)ミドルを突き刺します。矢継ぎ早に48分には、右SBの小山大樹がこれまたスーパーなボレーを左スミへぶち込み、2-0。琉球にとって悪いことはさらに続き、一緒に見ていた平畠さんと「あの選手イレ込み過ぎですねえ」と話していた田上裕が案の定、交替出場からわずか10分間で2枚のイエローカードを喰らって退場に。そして78分には、大ケガで昨シーズンを棒に振った横河の支柱・村山浩史が見事な復活弾。「苦しかったが続けてよかった。ケガした右ヒザにもありがとうと言いたい」という村山がゴールを決めて一目散に向かったスタンド下に、全選手とサポーターによる歓喜の輪ができたシーンは感動的でした。さらに83分には、感想を聞かれて「2点目取ったぁみたいな。ハハハ」という岩田のゴールで4-0。89分に琉球も佐藤高志のミドルで一矢を報いますが、残念ながら本当に一矢。横河が村山のゴールに華を添える快勝で、詰め掛けた多くのサポーターに幸せな週末を贈りました。記者席には戸塚啓さんや柱谷幸一さんの顔もあり、スタンドには平畠さんが。そしてトルシエが動く度に起こる民族大移動。気候もいいし、観衆も903人と全体的にかなり素敵な雰囲気でした。時間の使い方はそれぞれでも、サッカーを好きな人たちには平等に週末がやって来るんだということを、強く感じられた空間だったと思います。　　AD土屋