1回戦から登場し今大会4試合目となる両校の共に初のベスト4進出をかけた一戦。大津はインターハイ得点王のFW黒木を1トップに中盤を厚くした4‐5‐1の布陣。鹿島学園は今大会初めてという4‐3‐3の攻撃的な布陣で挑みます。鹿島学園は「相手の立ち上がりを狙おう」(鹿島学園・鈴木監督)という指示通りの前半2分、大津の選手がまだ試合に集中できていなかった隙をつき、右サイドラインからのスローインを素早く入れMF小黒の折り返しにFW忍穂井がダイレクトで合わせ鹿島学園が早くも先制します。この失点で目が覚めた大津は、中盤の数的優位を生かしたパス回しからのミドルシュートなどで攻撃のリズムを作り前半12分には、そうして得た3本目のCKを186?の主将CB藤本がヘディングで合わせ同点に追いつきます。その後も選手の体格で優る大津が主導権を握りますが、中盤で潰し合う展開が続き同点のまま後半へ。押されていた鹿島学園はハーフタイムに「4‐3‐3をやめて、いつものシステムに戻した」(鹿島学園・鈴木監督)、3トップのFWを一枚減らしMFを投入。しかし前半とあまり流れは変わらず、攻め込むものの得点を奪えない大津も49分に1、3回戦でも途中出場からゴールを挙げているMF藤崎を投入し勝負をかけます。そしてその直後の大津に訪れた立て続けのチャンス、FW黒木のGKと1対1のシュートは鹿島学園GK長峰の好セーブに阻まれ、MF西田のシュートも枠を僅かに外れます。鹿島学園も小柄なFW忍穂井のドリブル突破に活路を見い出しますがなかなかシュートまでは行けず。後半ここまでシュートも打てなかった鹿島学園ですが試合時間残り5分から怒濤の攻撃を見せます。終盤になってのそのスピードある攻撃に大津は自陣に釘付け。そのまま後半40分は過ぎ、掲示されたロスタイムは4分。そのロスタイムも2分を経過した頃、鹿島学園がドリブル突破からほぼペナルティーエリアライン上の絶好の位置でFKを獲得。ここで大津は「PK戦を想定して」(大津・平岡監督)FK前になんとGKを交代させます。そして「あんなFKの練習したことない。テレビでどこかの高校のハイライトでも見て真似したんでしょう」(鹿島学園・鈴木監督)と笑った、相手の壁の前に何人か味方の選手を立て膝で並べたFKのシーン。その効果があったかどうかはわかりません。そして大津のGKが交代してもしていなくても結果は変わらなかったであろう、鹿島学園MF小谷の蹴ったボールは素晴らしい軌道を描き直接ゴールに吸い込まれました。「やられちゃいけない時間にやられた」(大津・平岡監督)程なく試合終了のホイッスル。劇的なゴールで鹿島学園が初のベスト4進出を決めました。大津は後半唯一打たれたシュートがゴールになるという受け入れがたい敗戦となってしまいました。「今日鹿島に帰るつもりでホテルもチェックアウトしちゃった」(鹿島学園・鈴木監督)と笑った鹿島学園はこれで今大会2回目の国立のピッチにまた1歩近づきました。　　　　石神