前日に優勝候補の市立船橋を下した香川西とテクニックのある攻撃陣に注目が集まりがちですが、ここまで無失点で勝ち上がってきた前橋育英。香川西は香川県勢初、前橋育英は8年ぶりのベスト8進出をかけての今日もやや強い風の中での一戦。前橋育英は「コイントスに勝ったら風下をとるように」という山田監督の指示もあって風下側を選択。香川西の中心選手MF登里享平(川崎内定)は市立船橋戦で痛めた左膝に不安を抱えていましたが両校ともに前日と同じスタメンでスタート。前橋育英は2回戦に比べシュートへの意識が高く前半5分までにシュートを3本放つなど試合を優位に進めます。そして前半12分、香川西DFの不用意な縦パスをハーフェーライン付近でMF六平がカットし、そのままドリブルでペナルティーエリアに侵入したところを倒されPKを獲得。そのPKを六平自らが決め前橋育英が先制します。前橋育英のパス回しは殆どがボランチの六平、米田を経由し彼らがタメを作りそこから長いスルーパスも出ます。そのパスを受けた攻撃陣は技術が高くボールを失うことが少ないため人数をかけた攻撃ができるのでしょう。守備をする時間帯が多くなかなか攻撃の糸口が掴めない香川西は、前半26分に再三突破され決定機を作られていた右サイドの選手を早くも交代させ、この日シュートにドリブルに絶好調だった前橋育英MF中美を封じようとします。しかし香川西はその後も押し込まれ、攻撃では中盤でのパスも正確性に欠け、風上の条件を生かすことができずに前半が終了します。後半開始早々の香川西にアクシデントが発生。怪我を押して何とかプレーし続けていた主将MF登里がプレー続行不可能になり無念の交代。前橋育英が風上を生かしここでさらに勢いづくかと思いきや「連戦の3戦目で疲れが出て体が動いてなかった」(前橋育英・山田監督)運動量が落ちスルーパスが長くなるなど少し雑なプレーが出るように。大黒柱を失った香川西でしたが、DFラインを押し上げサイド攻撃からクロスを入れるも跳ね返され、前橋育英がカウンターでその裏を狙い2トップの皆川、西澤にそれぞれチャンスがありましたが決めきれずに1点差の緊張感の漂う展開のまま試合はロスタイムへ突入。「後半は相手の闘志に負けていた」(前橋育英・山田監督)と認めるように、最後まであきらめない香川西にこの試合最大のビッグチャンスが訪れますが前橋育英のDF陣が体を張って守りきり1‐0で試合終了。前橋育英が3試合連続の無失点でベスト8進出を決めました。準々決勝は国学院久我山との関東対決。最後の最後まで前橋育英を追い詰めた香川西ですが、MF登里が本調子だったらまた違う結果になっていたかも知れません。 　　石神