幸谷監督就任直後の勢いはどこへやら。現在9連敗中のアルテ高崎。ホーム最終戦くらいは意地を見せて欲しいところ。「♪幸谷アルテ！」のコールが3回と、ボールボーイを務めるアルテU-15の少年たちが、雨混じりの天候に枯れ芝という逆境にもめげず、でんぐり返しのパフォーマンスを披露し、幸谷監督がキックオフ直前に悠々と登場してからゲームは始まりました。すると5分にいきなりCKからジェフが先制。たまらず幸谷監督も立ち上がって檄を飛ばすと、11分には右SBに「…(よく聞き取れず)ダメなんだよ」とダメ出し。イライラは隠せません。さらに不運は重なり、20分にはGKが負傷退場。驚くくらい盛り上げ系のアナウンスと共に、控えGKがゴールマウスへ向かいます。幸谷監督も22分には再び右SBにダメ出し、24分にはCBへ指示とせわしなく動き回りますが、それもそのはず。失点の後も前半だけで3度は大ピンチを迎え、ジェフの決定力不足に助けられる始末。スタンドからも「気持ちを見せてくれよ」と怒号が飛びかい、スタジアムは不穏な空気に包まれます。しかし前半の追加タイムに歓喜が。ラインの石灰が白煙を上げるほどダフったCKはうまくジェフDFをすり抜け中へ。すると「何も考えてなかった(試合後のヒーローインタビューより)」小川のスライディングボレーが決まって、アルテが同点に追い付きました。さらに後半に入ると53分、ジェフの決定機を2連続でGKが防ぐと、直後に大谷が「シュート打たないと入んないんで、テキトーに打ったら入りました(試合後のヒーローインタビューより)」と言う20m近いジャンピングボレーを突き刺し、どうひいき目に見てもまさかの逆転で、アルテがリードしちゃいました。この状況には幸谷監督もヒートアップ。66分、67分に連続激昂。70分から3分間はテクニカルエリアをギリギリ越えた辺りまで出ずっぱりで戦況を見守ります。76分の決定的なピンチはシュートミスに助けられ、81分の決定的なチャンスはジェフGKがファインセーブ。予断を許さない展開。84分には再び大ピンチをシュートミスで切り抜けましたが、幸谷監督はブチ切れてチームを鼓舞します。87分、CBが異議で警告を受け、さらに食い下がりそうな所を「言うな言うな」と制止。88分にはタッチを割ったボールをキャッチすると、相手ボールと見るや狡猾な数秒ロスに成功(内容は差し控えます)。そんな飽くなき勝利への執念が実り、遂に試合終了を告げるホイッスルが鳴り響き、アルテが8月2日以来となる5勝目(すべて幸谷監督就任後)を挙げ、17位を確定させました。もはやスタンドは熱狂の渦。大谷は最終節への意気込みを聞かれると「僕ちょっとイエロー4枚で出れないんですけど」とクスクス笑いを誘発し、ベンチ入りメンバーで唯一出番のなかったキャプテンの浜岡も皆さんに挨拶したいと現れ、挨拶を終えるとおどけたポーズで「ユッケ取って投げて食べます」とわかる人にはわかるんでしょうけど、大半の人にとっては意味不明な言葉を発することでスタンドを凍り付かせてしまい、ややお祝いムードに水を差すことに成功しました。なお、勝利監督のご機嫌はこの写真から察して下さい。いやあ、確率的に考えてもかなり貴重なアルテの勝利が見られてよかったです。 　　　AD土屋