後期はここまで負けなし、目下4連勝中で勝ち点48の3位まで浮上してきた横河武蔵野。後期は岡山、鳥取、栃木を撃破、“JFLの門番”ぶりを見せ付けて勝ち点51で2位につけるHonda FC。共に現時点ではJリーグ加盟を表明していないチーム同士、いわばアマチュアレベル最高峰のゲームを見に、西が丘へ行ってきました。Hondaのサポーターは横断幕を40枚以上持参する気合いの入りよう。「ハママツ〜ホンダ」のチャントを繰り返します。一方の横河ゴール裏は突如PerfumeやEXILEの替え歌チャントを5分以上熱唱し続けるなど、お互い個性を打ち出してました。ゲームはすごくわかりやすい構図。堅守速攻の横河に、細かく繋いで崩すHondaで推移していきます。Hondaはメンバー表こそ4ー3ー3でしたが、実質は4ー4ー2。ワイドの鈴木弘大、柴田潤一郎にFWの新田純也の3人を軸に、ゴール前でダイレクトパスを繋いで崩そうとする志向と技術はかなりハイレベルです。しかし3試合連続完封中の横河DF陣も強固。ある程度攻撃は2トップ任せにして、8人で築くブロックを前にHondaもあと1本のアイデアに苦しみ、なかなかチャンスが生まれません。先に決定機を掴んだのは横河。23分、右からのアバウトな折り返しを太田康介が頭に当てますが、これはクロスバー。42分にはHondaにチャンスも、FKの流れから糸数昌太がフリーで放ったシュートは浮いてしまい、ゴールならず。前半は、攻撃の時間が長いのにシュートの少ないHonda、攻撃の時間は短いのにシュートは多い横河といった様相で終了しました。迎えた後半は、中央の崩しからサイド攻撃へと意識を変えたHondaが圧倒します。その中心はレフティーの柴田。小柄ですが、至る所に顔を出して、リズムを作っていきます。去年栃木で見た時もいい選手だと思いましたが、彼はかなり面白いですね。57分、柴田の右クロスからDFのクリアは自陣ゴールへ向かうも、横河GK金子芳裕が素晴らしい反応で掻き出します。65分には交替直後の吉村和絋がファーストタッチでスルーパス、鈴木のうまいシュートはわずかにゴール右へ。73分、CKから石井雅之のヘディングは再び金子がファインセーブ。横河も金子の好守などで踏みとどまります。しかし、Hondaの執念が結実し、横河の執念が決壊したのは、追加タイムまでわずか数十秒に迫った89分。右からのクロスに反応したのは鈴木。ダイレクトで放った左足ボレーは時間を切り裂いて右スミへ。自身の昨シーズン記録に並ぶ15ゴール目は、あまりに貴重な決勝弾。最後まで攻める姿勢を貫いたHondaが劇的な勝利で、暫定ながら栃木をかわして首位に躍り出ました。横河からすればある程度は狙い通りに近いゲームだったはず。相手が焦れてイエローカードを多数受けるなど、リズムは握っていたかもしれません。ただ、後半のシュートが1本ではよくて勝ち点1が精一杯。最後の失点は相手を褒めるしかないものでしたが、あの戦い方なら引き分けには持ち込みたかった所でした。Hondaは1人1人のレベルも高く、攻撃にも柔軟性があってかなりいいチームだと思います。FWの早坂良太、Uー19候補のDF村松大輔とルーキー2人がスタメンで活躍するなど、バランスの取れたメンバー構成。JFLは勿論、天皇杯でも昨年のような活躍が期待できそうです。 　　AD土屋