「前半は少し長いボールを使って抑え気味に入った」と草津の植木繁晴監督。ボールを追う前線にやや中盤が押し上げきれず、スペースを使われ何回かピンチを迎えます。特に20分には富田からのスルーパスを絶妙のトラップで抜け出した中島が決定機を迎えますが、ここは「今週ずっと風邪を引いててコンディションは最悪」というGKの本田がファインセーブで逃れました。前半の仙台はリャンヨンギを中心にうまく左右に展開しながらチャンスを窺います。「(ボールを)持たれる時間が長くなるのは覚悟していた」(仙台・手倉森誠監督)ものの、草津が前述した通りロングボールを多用する中で、セカンドボールもしっかり拾って優位にゲームを進めましたが、あと1つのパスの精度に欠け、スコアレスで45分を終えました。さて今日も30度を超えた群馬地方。「この気温差は仙台にとって難しいもの。DFラインを下げて疲れさせよう」(植木監督)という狙いの前半を経て、後半に入ると島田のいる左サイドを有効に使いながら、普段の繋ぐスタイルに移行した草津が攻勢に出ていきます。ただ、こちらもイージーなパスミスで最後の詰めを欠いて、決定的なチャンスを創り出すまでには至らず、ゴールは生まれません。そんな中で迎えた72分、自らマルセイユルーレットで抜け出して奪ったFKを熊林が直接狙い、ボールはカベを越えてゴール左スミに向かったもののポストを直撃。さらに82分、チェソンヨンが粘って上げたクロスのこぼれ球を松下がボレーで叩くと、これも左スミに向かいながらポストに弾かれます。スタジアムは2度に渡って歓声から一転、溜息に包まれました。ラスト5分は完全にラインが延び切った状態から壮絶なカウンター合戦。互いに最後の力を振り絞ってゴールに迫りながらも結局スコアは動かず、共に勝ち点1を分け合う結果になりました。結果的に0-0ではありましたが、手倉森監督は「相手の勢いを考えると負けなくてよかったのかな。断然ボールの動かし方はよくなってきた。好調の草津にボールを支配して仕掛けるゲームができてよかった」とポジティブな発言。一方の植木監督も「ハードワークしていいゲームをしてくれた。内容的には非常に満足できる。本当に上に行きたいという雰囲気が高まってきた」とこちらも前向きに語りました。双方にとって十分今後に繋がるであろう、価値あるドローゲームになったと捉えてよさそうです。写真はセーブオン限定発売、キャプテン松下裕樹選手創作レシピの塩こんぶチーズマヨおにぎり。　　AD土屋