2分に京都の安藤、5分に柏の菅沼、9分に京都の柳沢。開始10分で3点が記録された一見派手な前半も「ゲーム自体は素晴らしい」という京都・加藤久監督のハーフタイムコメント通り、京都が一方的に主導権を握って推移した45分間でした。「前節負けて、試合の入り方を気を付けようとゲームに入った」(柏・石崎信弘監督)はずだった柏が立ち上がりに2失点を喫し、リズムを失った最大の要因は「DFラインで躊躇する場面が多くて」(石崎監督)バイタルエリアを使わせ過ぎた事。1失点目はシジクレイにノープレッシャーでミドルを打たれ、さらにこぼれ球への反応も遅れて奪われたもの。2失点目もゴール前で柳沢とフェルナンジーニョにワンツーを許すと、フィニッシュのシーンでは柳沢がフリー。特に今季3試合目のスタメンとなった近藤は、明らかに試合勘を欠き柳沢に翻弄されます。数少ない決定機で1点挙げていたのが救い。かなり厳しい展開で後半に入りました。しかし次の得点は柏に。51分、右サイドで藏川が粘ってクロスを上げると、北嶋が素晴らしいコントロールから右足を強振。柏にとって特別な9番が、今季初スタメンで決めた今季初ゴールで2対2のタイスコアになりました。そして逆に後半は柏がペースを握っていくことになります。「簡単に言えばプレスが甘くなった」(加藤監督)後半の京都。加藤監督は4-1-3-2の3に右から佐藤、角田、安藤とボランチを3枚並べ、高い位置においたSBとの連携でサイドアタックをケアする策を採用し、前半はそれが奏功しました。ただ、両チーム共にカウンターを得意とする中で、徐々に「前でボールを奪えるようになった」(石崎監督)柏が、より効果的な攻撃を繰り出すようになり、流れが前半と入れ替わった格好になりました。さらに70分には負傷でベンチスタートだった切り札フランサがピッチへ。日立台に集まった柏サポーターは逆転勝利に向かってヒートアップします。しかし、結果から言うとこの後にゴールは生まれず、ドロー決着を見ることになりました。前半を考えればよく追い付いたとも言える柏の課題は間違いなく「最後の最後の所での精度のアップ」(石崎監督)。特に70分以降は鈴木、太田、菅沼と2列目からフランサを追い越せる選手が揃ったものの、シュートまで持ち込めたシーンは数える程。フランサはチャンスも確実に創り出しますが、ボールを奪われるとファーストDFの役割は放棄しているので、かなり危険なピンチを招くことにもなります。それを考えると、動き回れる選手たちには確実なシュート精度を求めたいですね。京都もTVでは毎試合見ていましたが、現場で最後に見た4月の川崎戦とはだいぶ違うチームになっていました。印象的だったのは、ポストプレーの巧みさや、裏への動き出しの早さなど、柳沢の能力がより生かされるような攻撃スタイルになっていたこと。持つ所とはたく所もうまく使い分けていたフェルナンジーニョともイメージが合うようで、最近の好調に納得しました。複数のポジションをこなせる選手が多く、加藤監督の敷く様々な布陣にもしっかり対応。チームとしてまとまっているように見受けられました。まあ今日のゲームの結末は妥当だったと思います。写真は柏駅前。今日はお祭りで人が溢れかえり、凄まじい熱気でしたよ。　 AD土屋