JFLも14節まで進行中。先週は高崎に行きましたが今週は宇都宮へ。Jリーグ参入を目指す栃木SCのゲームに来てみました。相手は昨年度王者、チーム名を改称し主力3人がJリーグに引き抜かれたSAGAWA SHIGA FC。ここまで意外にも12位と奮いませんが、チーム力は十分で、今日も序盤から栃木を圧倒します。面白いのは4-2-3-1の3の部分。田谷高浩、中村元、大沢朋也が流動的に動き回り、果敢にDFラインの裏を狙います。しかし先制したのは「2トップに全然ボールが収まらないし、ポゼッションがうまくいかない」(栃木SC・柱谷幸一監督)状態の栃木。キーマンはやはり3試合の出場停止がようやく解けた佐藤悠介でした。19分、素晴らしいサイドチェンジのボールを右へ送ると、高安亮介が1人かわして角度のない所からサイドネットへ流し込み、早速アシストを記録。佐藤は26分にも決定機を演出すると、32分には際どいFKを放つなど「左足キックの精度の高さ」(柱谷監督)を見せ付けます。それでも前半は総じてSAGAWAペースで推移しました。さて、栃木は後半開始から上野優作を投入したことで一時的に流れを引き寄せますが、不動のボランチ落合正幸が負傷交替すると、やや中盤での攻防で後手に回り、加えてSAGAWAが中盤の顔触れを選手交替で変化させてきたことで再び主導権を握られます。72分には左サイドを完全に崩されて決定的なピンチ。ここは相手のシュートミスに助けられますがその5分後、中村元の浮かせたパスに米倉将文が見事なダイレクトボレー。スコアはタイに戻りました。「追い付いた時点でこちらのペースになったかなと」SAGAWAの田中信孝監督も感じたように、同点になってからのラスト10分強はオープンな打ち合いにこそなったものの、決勝点の予感はアウェイチームにあったと思います。しかし開幕からここまですべて勝利、相手の決勝点は「入ってもおかしくない所でも入らない」(柱谷監督)のがグリーンスタジアム。88分に岡田佑樹が自陣ゴールへクリアした際にも、ボールはポストをなめて枠外へ。すると90分が終わり、追加タイムに入った瞬間。「中を信じて蹴った」佐藤のCKを“KING OF TOCHIGI”上野が頭でねじ込む劇的な決勝点。栃木が苦しみながらもホーム連勝記録を8へ伸ばし、同じく勝ち点3を重ねた首位のHonda FCにしっかり食らい付きました。田中監督が「ゲーム内容的には五分と五分」と語った通りかなり拮抗した、むしろSAGAWAのゲームだったと思います。それでも「タレントが凄くいっぱいいる」(田中監督)のが栃木の強み。特に今日は「90分通して勝った方が強いチーム」と語った佐藤のスペシャルな左足が試合の趨勢を大きく左右したファクターでした。なお、敢闘賞は10人余りで奮戦したSAGAWAサポーターでしょう。特に栃木GK小針清充がエリア内でボールを手で持つと「1、2、3…」とカウントを開始して、6秒ルールの遵守を求めながらキックを促す巧妙なプレッシャーにはヤラれました。さて、これはお伝えしなければなりません。何とアルテ高崎が敵地でソニー仙台を1対2で破る大金星！幸谷監督初勝利となりました。たった1週間でアルテに何が起こったんでしょうか。幸谷マジック恐るべし。　　AD土屋