連勝というハードルをようやく乗り越えた草津。前節では甲府をアウェイで下して早くもクラブ史上2度目の連勝を果たし、植木繁晴監督が「我々にとって上に昇っていくためには大事な」今日のゲームに初の3連勝を懸けて戦います。やや両チームともミスの多い立ち上がりを経て、徐々に湘南が主導権を握り始めると勢いそのままに25分、坂本のクロスをDFの裏に走り込んだアジエルがボレーで叩き込み先制。まずは湘南がリードしました。さて3連勝に灯った黄色信号でしたが、これを前半の内に打ち壊したのはJ2屈指のレフティ島田裕介。43分、中央やや右寄り、30m以上はある距離ながら「少し遠いけど全然狙える、自分の好きな位置」から放たれた左足FKは、まさにユナイテッド戦の中村俊輔ばりに右隅へ吸い込まれ、スコアをタイに戻しました。後半も流れは明け渡し、「押されている時間が長かった」(植木監督)中でも決して焦ることなく相手の攻撃を跳ね返し続ける草津。DFラインも高さを保ちながら肝心なスペースはしっかりケアし続け、チャンスを狙います。そして「逆転できるんじゃないかというムードが高まっている」(島田)ことを見事に証明したのは75分。相手の連携ミスを突き、ボールを奪った鳥居塚が左へ展開。島田が丁寧に上げたクロスは、全力で走り込んだ鳥居塚の頭へ。「たくましくなった」と植木監督も称えたチーム力で草津が逆転しました。さらに終盤には上積みを見せ付けることにも成功。87分にGKが飛び出してのクリアミスという「技術的というより判断の、前向きではなく後向きのミス」(湘南・菅野将晃監督)を突いて、「ここでやる時は競技場の雰囲気もあって特別な力が入る」という元湘南の高田保則がダメ押しの3点目。ロスタイムにはアジエルに1点を返され、退場者を1人出す“オマケ”も付きましたが、草津が3連勝というクラブ史に残る新たな歴史を平塚の地に刻み込みました。実は「平塚の監督をやめてから、この競技場では1回も勝ったことがなかった」という植木監督は、連勝に続いて嫌なジンクスを吹き飛ばす結果に「選手たちが90分の過ごし方をわかってくれてる。勝てるという自信が中から出ている」と大きな手応えを感じている様子。次々に“クラブ初”を達成している草津が、いよいよ“クラブ初”の昇格争いを確実に視界へ捉えてきたのではないでしょうか。　　　AD土屋