GW4連戦の2戦目は最高の気候。こんな日はビールでも飲みながら観戦するしかありませんねえ。でも記者席ではそうもいかないので、ちゃんと試合を見てきました。最初のゴールは開始早々の6分、猛烈な闘利王のプレスをかわして、前を向いた芳賀の視界には完全にフリーで抜け出しつつある砂川の姿が。送られたパスを砂川は完璧なトラップで前に持ち出しそのままゴール。意外にもと言うと失礼ですがアウェイチームが先手を奪います。その後も「ある程度やりたい形ができていた」(札幌・三浦俊也監督)札幌がキープ率でも上回る展開に。浦和は「ちょっとバランスが悪かった」と高原も認めた通り、彼とエジミウソン、梅崎の距離が遠く、攻撃のギアが上がりません。19分にはFKから高原がネットを揺らすもノーゴールの判定。嫌な空気が漂い始めた頃、一つのミスで流れが変わります。24分、山田のクロスをDFがクリアしたこぼれ球、阿部のシュートはヒットせず緩い勢いでゴールの方向へ。しかし札幌GKの高木は体勢を崩しまさかのファンブル。幸運に恵まれ、浦和が追い付きました。直後の25分にはクライトンのCKをファーでまったくフリーになった柴田が頭で叩き、札幌が勝ち越しますが、その3分後には梅崎のCKに闘利王がこちらも頭で合わせて同点。意外にも前半から点の取り合いになります。ただ、この浦和の2点目以降は「山田と梅崎に基点を作られた」(三浦監督)ことで、浦和が主導権を掌握。札幌はビルドアップ時につまらないミスが目立ち始め、流れを手放します。するとハーフタイムを挟んでも勢いそのままに50分、エジミウソンが梅崎との綺麗なワンツーから左サイドネットへ突き刺し、浦和が逆転。事実上、ここで勝敗はほぼ決しました。本来のFW登録選手がスタメンに1人もいない札幌も、慣れない前線で戸惑いを隠せなかった西が、決定機を掴みかけながら都築のファインセーブに阻まれた59分のシーンが後半唯一のチャンス。後は何とかラインの高さは保ったものの、防戦一方になってしまいました。ではボールを保持し続けた浦和がそこまでチャンスを創出できたかというと、そうとは言えません。3人以上が連携して崩すような形はほんの数回。目立ったのは、攻撃の起動装置として今日は抜群の威力を発揮した梅崎と、強引なまでにシュートを放ったエジミウソンで、共に個を押し出したプレーが主でした。ただ裏返せば、そこにある個は強烈。試合を決めた85分のゴールは、カウンターから高原とエジミウソンがたった2人だけで決めたもの。連携には乏しくても1人1人をタイトにケアしないと、いかに強固な組織でも打ち破られてしまいそうな凄味は確かにありました。札幌にとってみれば、一番痛かったのは3失点目より1失点目ですね。「最後のポイントで点を取れる選手と取れない選手の差」(三浦監督)は戦前から明らか。J2を勝ち抜いた“ウノセロ”の構図が崩れ、打ち合いの様相を呈した時点で、勝ち点3を獲得する確率はかなり低下してしまいました。貫くスタイルはハッキリしているだけに、あとはダヴィのパートナー選びですか。まったく期待外れのノナトに代わる外国人ストライカー探しが急務かもしれません。　　　AD土屋