前節のFC刈谷戦は89分の決勝ゴールで開幕2連勝を飾った栃木SC。ライバルと目されるチームが序盤からつまづく中で絶好のスタートダッシュを切りました。今日の相手は三菱水島FC。企業チームにも関わらず、4人の熱狂的サポーターが声を張り上げます。ただキックオフ前にハプニングが。三菱水島GK永富裕尚のユニフォームはあろうことかイエロー。イエローと言えばそれは栃木SCのチームカラーでありユニフォームカラーですよ。一旦は入場したものの審判団に促され、再びベンチから出てきた彼は、なんと7番の黄緑ビブスを着用済み。しかしそんな何とも悲しいビブス姿のGKにも、この日のリアルイエロー軍団は容赦しません。開始6分、小林成光のフィードを上野優作が競ったこぼれに反応したのは「結果を出さないと次はないと思ってプレーした」という石舘靖樹。柏レイソルからやってきたレフティーの一撃で早くも先制すると、13分には佐藤悠介のフィードにまたも上野が絡み、小林がエリア外から豪快なミドル。早くも2点差が付きました。「元Jリーガーとそうじゃない選手がやるんですから、横綱と前頭みたいなものですね」と三菱水島の熊代正志監督が評したように、両チームにはいかんともしがたい実力差があり、栃木はポゼッションで圧倒的に上回ります。ただそれが逆に前半の中盤から「中だるみ」(栃木SC・柱谷幸一監督)を招き、36分にはDFの目測ミスから決定的なピンチを迎えます。しかし守護神・小針清充がファインセーブで難を逃れると、41分には向慎一のFKから最後は落合正幸が3点目となるゴール。前半で実質勝敗は決しました。後半に入っても47分、小林のクロスを石舘がダイビングへッドで叩き込み4点目。まだまだゴールショーが見られそうな予感にスタジアムは包まれますが、61分に上野が2枚目のイエローカードで退場するとややトーンダウンしてしまいます。数的有利を得てようやくボールが回り始めた三菱水島は、前線に190cm・89kgというレスラー並の体格を誇る松永一慶をリングインさせますが、やはり栃木ディフェンスの壁は厚く、逆にロスタイムには87分に投入された久保田勲が強烈なシュートを突き刺し、打ち止めとなる5点目。栃木SCはこれで開幕から無傷の3連勝となりました。今季初スタメンのFWが2ゴールを挙げ、数的不利の中で交替出場した選手がダメ押しゴールと、チームとしてのサイクルも順調な状況を、「みんなで戦うために今日のようなゲームで結果を残せたのはよかった」と柱谷監督も評価。「3試合で勝ち点10や12は取れないので、最高の3試合で終われた」と独特の表現で満足感を語りました。写真は公式記録のスタメン。凄いのは中央のフォーメーションで、これも両チームが配置を書いて提出するとのこと。それを教えてくれた柱谷監督は「たまにムチャクチャ書いてやろうかなとも思うけど、ここに嘘はかけないよね」と苦笑い。試合が始まるとやっぱり用紙通りのフォーメーションでしたよ。　　AD土屋