シーズン前には昇格候補の一角に挙げられていた湘南。しかしここまでは4試合を戦って2勝2敗とやや苦戦気味。今日の対戦相手である徳島はいまだ勝ちなしの最下位ということもあって、ホーム平塚で確実に勝ち点3を稼ぎたい所です。「立ち上がりはいい入り方をした」(湘南・菅野将晃監督)湘南は、アジエルを中心としたサイド攻撃から完全にゲームを掌握。13分には、そのアジエルのパスに走り込んだ左SBの鈴木伸貴がJリーグ初ゴールを沈め、先制します。4試合で1つしかゴールを奪えていない徳島は、2トップとボックス型の中盤の攻撃的な2枚にボールがほとんど入らず、攻撃の形が全く見えて来ません。しかし、このペースに対して徐々に湘南も合わせるような格好で「先制点を取れた後は少しパワーダウンしちゃったなと感じた」と菅野監督も認めたように、試合は膠着状態へ。するとその空気を打破したのは何と徳島。35分、玉乃のCKをドゥンビアが合わせるとボールはゴール右隅に。最初に迎えた決定機で同点に追い付くと、43分にはドゥンビアのパスを受けた玉乃が右足アウトで冷静に流し込み、嵐のような10分間を経たゲームは徳島が1点リードしてハーフタイムを迎えました。まさかの逆転を許した菅野監督は、後半開始からリンコンを送り込み再逆転を狙いに出ます。両チームがワイドをうまく使い合い、ゲームに動きが出始めた中で先にチャンスを掴んだのはホームチーム。60分には大山のCKから最後はジャーンがシュート。これは徳島DFがギリギリでクリアしますが、その流れからアジエルが上げたクロスに再度ジャーン。スコアは振り出しに引き戻されました。この後、オープンな打ち合いの様相を呈してきた展開に両チームサポーターもヒートアップ。そしてそんな拮抗した熱戦に決着を付けたのは20歳のコートジボワール人でした。76分、後方からのパスをワンタッチで前へ押し出すと鋭い加速でDF2枚を置き去りに。中央へ送ったボールに頭から飛び込んだのは阿部祐大朗。この日徳島サポーター3度目の阿波踊りが飛び出し、勝ち越し成功。89分にはジャーンのヘディングが右ポストを叩き、アジエルのシュートは再三ファインセーブを見せた島津がここも驚異的な反応でストップし、最下位徳島が今季初勝利をアウェイでもぎ取る結果となりました。今日のドゥンビアはキレがありましたねえ。序盤はほとんどボールに絡めなかったものの、1点目を奪った後からはスピードを前面に押し出しチャンスを創出。結果的に全得点に絡む活躍で、勝ち点3奪取に貢献しました。一方、試合終了後はサポーターから大ブーイングを浴びせられた湘南。今日も含めた5試合で8失点と昨季のウリでもあった堅守が崩壊しています。バランスは決して悪くない中、菅野監督によるとセットプレーからの失点が多いとのこと。その修正は急務ですね。「こういう場面でどういうパワーを次のゲームに向けられるか」(菅野監督)、次節アウェイの草津戦は早くも今季最初の正念場となってしまったようです。　　AD土屋