ついに舞台は聖地国立へ。昨年の準決勝は、極寒の暴風雨だったことが思い出されますが今日は絶好のコンディション。第1試合は、とりあえずは順当に勝ち上がってきたと言える二冠を目指す優勝候補、流経大柏と準々決勝では堅守の広島皆実から3ゴールを奪い勝ち上がってきた伏兵、津工業のお互い初のベスト4対決。津工業は初めて観るチームなので、ここまで3試合連続4得点を挙げている2年生FW中野を攻撃の中心としたチームというくらいの数字上の印象しかありませんでした。流経大柏は、これまで効果的な攻め上がりを見せていた左SB比嘉が累積で出場停止。終わってみればですが、その穴は6番海老原が完全に埋めていました。序盤からやや押され気味の津工業でしたが、攻撃時には2トップの11番前田、10番中野、9番左MF飯田の2年生トリオに8番右MF松葉の攻撃陣が4トップ気味になり、DF陣も攻め込まれてもやみくもにクリアせずに最終ラインからパスを回し2トップに預けてサイドの裏を狙うという形で何度か好機を迎えます。しかし、前半26分に流経大柏のエース大前に先制点を許すと、動揺した津工業のパス回しにミスが多くなりましたが、流経大柏も追加点を奪うまでには至らず1-0で前半終了。後半に入ると津工業は、怯む事無く前に出て、選手交代によりFWに上がった8番松葉に決定機が訪れるも決められず。今思えばこれが津工業の最後の決定機でした。この試合最大のピンチを凌いだ流経大柏は勢いづき、試合終了まで激しいプレスをかけ続け後半だけで11本のシュートを浴びせ、これまでの欝憤を晴らすように大爆発したエース大前の3得点や、この日チャンスメークに徹していた20番MF田口の得点などで後半だけで5得点を挙げ6-0の圧勝で初の決勝進出を決めました。この日4得点を挙げた大前はベスト4に残ったチームの中で唯一のJ内定選手という力を存分に見せ付け、得点王争いでも一気にトップに立ち、インターハイ、高円宮杯に続く『得点王三冠』という偉業も完全に射程距離に。あまり情報も無く観た津工業は、全くチャンスが無かったわけでもなく、DF陣もボールを奪っても単純に前に蹴らずにパスを回すことが徹底された良いチームでしたが、運動量も落ち、気持ちも切れかかった終盤になるとミスパスが増え、そのスタイルが仇となって流経大柏の激しいプレスの餌食になって大量失点に繋がってしまったのだと思います。流経大柏の終盤までプレスを続けるスタミナは驚異的です。二冠がかかった決勝は14日と少し日にちが空くので、この勢いを持続できるか。さすがに疲労もあるでしょうから、この1週間をどう過ごすのかがポイントになりそうです。「高円宮杯の優勝からなかなか気持ちの切りかえができていない。」と、この試合後にも本田監督が語っていただけに、決勝までしっかり調整してベストコンディションで戦ってもらいたいです。　　石神