昨年度の選手権は広島皆実がベスト8で作陽は準優勝。今回は当然1月14日のファイナルを、そしてそこで勝利を収めることを目標に掲げる両チーム。昨日の2回戦もそれぞれ帝京に青森山田と強豪を下しており、実力も拮抗した好ゲームを期待していました。ほぼ風もなく絶好のコンディションで始まったゲームは、非常に動きの少ない展開で推移していきます。というのは両チームの守備組織がかなり高いレベルにあり、アタッキングサードより先でのプレーシーンが極端に少なかったため。共にシステムも4ー5ー1で完全なミラーゲームになり、31分に広島皆実・下江和裕(3年)のシュートを作陽GK安井豪(3年)が掻き出したのが前半唯一の決定機。均整の取れた神経戦はスコアレスで40分を消費しました。後半に入っても緊張感の高いゲームは継続。チャンスはセットプレーが中心に。58分、作陽はCKから堀谷順平(3年)が決定的なシュート。しかしこちらも広島皆実GK増田卓也(3年)が好セーブでゴールを許しません。68分には広島皆実、下江が裏に抜け出しますが1対1を安井が足でスーパーセーブ。76分には作陽、FKから広島皆実DFのクリアが枠内へ飛ぶと増田が何とかフィスティング。最後の最後まで両雄の集中力は途切れず、GKも含めた守備ブロックの成熟度が高次元で交差した結果はやはりスコアレスドロー。ベスト8進出はPK戦に委ねられました。先攻の広島皆実1人目は成功。対する後攻の作陽1人目は枠を外してしまいます。すると広島皆実2人目も打ち上げてしまい枠外へ。が、作陽は2人目のキックも再び枠の外へ。結局3人目も大きくふかした作陽は「(GKの)増田が大きく見えた」という広島皆実・藤井潔監督と同じ感覚に陥ってしまったのか、PK戦も無得点で敗退となりました。後半は押し込む時間帯もあった中で、ブロックを打ち破るあと一手を個人、組織両面で最後まで出せなかったですね。対する広島皆実は、やや苦しみながらもベスト8進出。磐石のディフェンスを武器に県予選からの無失点試合も9まで伸び、昨年阻まれた山を越えるとその先にある夢の舞台を確実に視界へと捉え始めました。　 　AD土屋