驚異的な粘り強さで浦和と横浜FCのJ1勢を撃破し、見事に準々決勝まで駒を進めてきたJ2で10位の愛媛FC。相手は今季の目標であるタイトルに向けて闘志を漲らせる川崎。私は今回の準々決勝4ゲームの中で、このカードに最も注目して埼スタまで来てみました。まず目を、いや、耳を引いたのは選手紹介時の場内アナウンス。やはり中立地だけあって、愛媛の望月監督を呼び忘れたり、我那覇を2回呼んでみたりしてました。これも天皇杯ならではですねえ。序盤は共に前へと出ていくアグレッシブな展開。愛媛は左サイドのスペースをうまく活用。3分江後、10分田中、11分内村と立て続けに決定機を創出。川崎もまずジュニーニョに預けてからの攻撃はキレ味鋭く、4分チョンテセ、5分ジュニーニョ、13分村上とゴールに迫ります。ただやはり徐々に自力に勝る川崎がゲーム全体を支配し始め、43分にはスローインの流れから右サイド、森がクロス。愛媛DFのクリアを拾った大橋が抜群のボールコントロールで右スミに突き刺し、先制点を奪いました。後半は開始早々からジュニーニョが2度チャンスを掴むなど一方的に川崎が攻め続ける流れでしたが、愛媛GK川北の前になかなか追加点が奪えません。ようやく2点目が入ったのは、65分。エリア内でジュニーニョが金守に倒されると、高山主審はPKの判定。しかも金守は2枚目のイエローで退場。PKもジュニーニョが落ち着いてゴール。ここでゲームはほぼ趨勢が決まった、と言ってもよいでしょう。愛媛は10人になっても集中を切らさずによく戦いましたが、川崎相手に数的不利ではいかんともしがたく、最後はサンドバック状態に。実際はこれ以降ゴールこそ奪えなかったものの、川崎がJ1で優勝を争うチームの風格を見せ付け、2ー0で勝利。29日の準決勝で鹿島と対戦することが決まりました。個人的には今日のMAN OF THE MATCHは愛媛のGK川北だと思います。前半の15分以降はひたすら堪え忍ぶ中、少なくとも9回は決定的なピンチを防いでました。さらにその中の3つか4つは超がつく程のファインセーブ。試合が最後まで壊れなかったのは、彼のプレーに依るところが大きかった印象です。ディビジョンの違いからなかなか見られないカードという側面もありましたが、ゲームそのものも随所に見応えある一戦でした。　　AD土屋