先週土曜日は湘南に0ー3の完敗。5試合も白星から見放され、周囲からもやや自動昇格を懸念する声が出始めた札幌。しかし、水曜はホーム厚別で3ー0と山形に快勝し、復調の兆しは見えてきています。対する東京Vは、第4クールに入って3連勝中。とうとう仙台をかわして7節以来となる"圏内"の3位まで浮上。特にエースのフッキは5戦連発と手が付けられない状態。昨日の京都の結果を受け、もし今日勝利すれば自動昇格圏内の2位となります。札幌は3位とのポイントディファレンスが最重要。ここで東京Vを叩くことが、悲願達成に直結するだけに、J2全体を考えてもこのゲームが大一番だということに異論を挟む余地はないでしょう。そんなゲームは開始たった1分で動きます。服部のFKを萩村が高い打点のヘッドで折り返し、ディエゴが押し込みゴール。札幌のお株を奪うセットプレーで、東京Vが早くもリードしました。6分にも西澤の軽率なバックパスを拾ったフッキがGKもかわしてシュート、これはブルーノ・クアドロスがクリアしますが、DFラインの不安定さは隠せません。すると14分には先制点とほとんど同じ位置から、キッカーも同じ服部が蹴ったFKをディエゴが頭で合わせて追加点。あっという間に2点差がつきました。札幌はドリブルで仕掛けてくるディエゴとフッキを捕まえきれずファウルを連発。失点シーン以外にもFKなどから決定機を作られ、37分にはブルーノ・クアドロスとの連携ミスから、GKの高木貴弘がフッキを倒すもノーホイッスル。ファウルなら一発退場は不可避なプレーだっただけに、札幌は命拾いしたものの、攻撃にはほとんど出ていけず、ロスタイムにようやく訪れた決定機も中山のシュートはバーの上へ。一方的な展開で前半は終了しました。「次の1点が勝ち点を得られるかどうか」(札幌・三浦監督)だった札幌は、後半開始から前へと出ていく姿勢を見せますが、51分に"次の1点"を奪ったのもホームチーム。フッキのクロスを大野がヘッドで決めて3ー0。大勢は決しました。なおも攻撃の手を緩めない東京Vは、76分にもフッキが独走から確実に流し込み4点目。札幌も87分に池内が意地の1点を返しますが、2分後にはディエゴ、フッキ、ディエゴと繋いで5点目。注目のビッグカードは、5ー1という思わぬ大差で東京Vが圧勝する結果となりました。三浦監督は会見で「セットプレーで決まってしまい、ウチのやりたいことをやられた」と振り返りましたが、これが本音でしょう。数少ないチャンスからセットプレーで先制し、前掛かった相手にカウンターを見舞ってとどめを刺すというのが、札幌の勝ちパターン。これをフッキとディエゴという"特殊兵器"擁する東京Vにやられては勝ち目はありませんね。そういう意味でも、絶対に必要だった先制点を開始1分に、攻撃に出ていかざるを得ない2点目を14分に奪われた以上、札幌にとっては「前半15分までで決まってしまった」(三浦監督)ダメージの大きいゲームになってしまいました。勝った東京Vは、これで暫定ながら2位へ浮上。「水戸、京都、そして札幌(との対戦)に全てを懸けていた」とラモス監督が語った3連戦で見事3連勝を飾ったように、ここに来てチームは絶好調。優勝での昇格も視野に捉えつつ、残り8試合をどう戦っていくか注目です。いよいよ首位も含めてJ2は大混戦の様相を呈してきました。　　　AD土屋