昨年はナビスコも含めた4試合すべてで激戦が繰り広げられたこのカード。川崎は絶対的な中心の中村が前日の負傷で欠場、対する千葉もジョルジェビッチがアップ中の負傷で急遽斎藤が出場と、共に想定外の布陣でのキックオフとなりました。水曜日にACLを戦った影響からか、川崎は全体的に動きに精彩がありません。中村の不在で「ボールの収まりどころが定まらなかった」(川崎・関塚監督)ために、普段のように左右へと散らすパスがなく、主導権を握られます。しかし千葉も「前半いいプレーがあったけど決められなかった」とオシム監督が振り返ったように、8分には佐藤がGKとの1対1を川島に防がれ、10分には山岸のクロスに巻が体で飛び込むも枠に飛ばせず、と最後の詰めを欠きスコアレスで前半を終えることになりました。後半は「サイドを効果的に使おう」という指示を受けた川崎が、谷口、河村のダブルボランチの積極的な飛び出しからチャンスを作り始めます。そして66分には右サイドで素晴らしい突破から森が上げたクロスに、J初スタメンのチョンテセが頭で合わせ、見事な先制ゴールを奪いました。さらに追加点をと畳み掛ける中、71分には谷口のミドルが立石を急襲。そして78分にはマギヌンのクロスに村上がヘディングを放つも、またもや立石が掻き出し、「勝つためには必要だったと思う」(関塚監督)もう1点が奪えません。するとチャンスを生かし切れないチームに厳しい、この日のサッカーの神様は千葉を後押し。81分、水野のFKはゴール前の密集に分け入りながら誰にも触れることなくネットへ。1ー1のドローという結果になりました。試合後、オシム監督は「すごく体力と神経を使って勝ち点1なので、両方とも満足しない試合だろう」と語りましたが、その少し後に口にした「前半よかった後半よくなかった。それを合計すれば1対1は妥当かもしれない」という方が本音かもしれません。前半の川崎、後半の千葉とそれぞれが劣勢だった時間帯を考えると、共に貴重な勝ち点1を手にしたと言えるのではないでしょうか。　　　AD土屋