今日の甲府市内は、"信玄公まつり"という一大イベントのために大賑わい。私が乗った特急も「信玄公まつり号」ともはや信玄一色。そんな中、小瀬に集まった甲府サポーターも凄まじい"祭り"を、しかも祝祭を目の当たりにすることになりました。試合は開始早々に動きます。5分、中央やや左から25mはあるFKを藤田が左スミにコントロールし、甲府が先制。その後も神戸は相手の細かいポジションチェンジとショートパスの連続に付き切れず、甲府が圧倒的なポゼッションから攻撃を繰り返します。しかし、そんなホームチームに悪夢が襲い掛かったのは前半終了間際の44分。バックパスをキャプテンの石原がまさかの空振り。それを拾った近藤が独走し、角度のない所からゴール。さらにショックもさめやらない数十秒後には、パクのクロスに再び近藤が「彼にはあまり見られない」(神戸・松田監督)ヘディングで合わせなんと逆転。甲府にとってリードして折り返すはずだった前半は、たった1分でビハインドを負う形になって終了してしまいました。ハーフタイムを挟んでも流れは変わらず、48分には近藤のスルーパスを受けた田中が確実にゴールを仕留め、2点の差がつきました。50分、大木監督は鈴木健太郎と須藤を投入。リスクを負って前がかりに出ていきますが、もはや完全にカウンターへと移行した神戸は次々に決定機を掴みます。しかし56分に近藤のハットトリックを狙ったシュートは阿部がファインセーブ、58分の内山のシュートはクロスバー直撃と突き放せません。するとここから「まさにエンタテインメント」(甲府・鷹野運営担当)の幕が静かに開けてしまいます。71分、林が素晴らしいパスを左サイドの鈴木健太郎へ送るとニアへ鋭いクロス。これを「いつも入っていくタイプじゃないのに」(甲府・大木監督)飛び込んだ茂原がネットを揺らし1点差に。そしてその4分後にはエリア内で増嶋が粘ったこぼれを「打とうか止めようか迷ったが密集だったので打った」茂原のミドルが左スミに突き刺さり、同点に。神戸ディフェンスはかなりバタバタし始め、サポーターの後押しもあって明らかに何か起こりそうなムードが漂い始める小瀬。そんな中でも、神戸のオフェンス陣はしたたかにカウンターを狙い続け、86分近藤、89分平瀬と続けてチャンスを迎えますが、共に阿部に弾き出され試合を決めることができません。するとロスタイムも3分を過ぎて、エンタテインメントのクライマックスがやってきます。ラストチャンスかと思われたFKを茂原が素早く右に展開、井上が落としたボールを増嶋が鋭く中へ上げると、待っていたのは77分に投入された保坂。振りぬいた頭から放たれた軌跡は、ゴールネットへと一直線に。小瀬沸騰。4ー3。もう神戸に反撃する時間は残っておらず、俄かには信じがたい大逆転劇で、甲府が5戦目にしてようやくリーグ戦初勝利をホーム小瀬で挙げました。神戸は、「相手のミスに助けられた」(甲府・石原)「何回かあったピンチに決められなくてよかつた」(茂原)と甲府の選手も認めたように、再三チャンスがありながら4点目を決めきれなかったことが響きましたね。甲府にとっては3失点目までは最悪の流れでしたが、ホームの雰囲気と信玄公の後押し？で結果的には「勝ち点3は減らない。色々な意味で勝ててよかった」(大木監督)というゲームになりました。いやあ、確かに色々な意味でエンタテインメントだったなあ。　　AD土屋