待ちに待った2007年Jリーグ開幕戦。私は味の素スタジアム、FC東京と広島の一戦に行ってきました。試合前には、2年ぶりに味スタへと帰還した監督をサポーターが「ハラトーキョー」の大合唱でお出迎え。キックオフしてからも3分までに4本のシュートと、圧倒的優勢はFC東京。攻撃サッカー全開ムードに包まれたスタジアムの雰囲気は、しかし突然切り裂かれます。石川の一撃がクロスバーを叩いた1分後の13分。駒野のアーリークロスをダイレクトで合わせたのは佐藤寿人。チーム初シュートとなるエースの一撃で、広島が先制しました。それでも攻勢を続ける東京は、18分にルーカスがフリーでヘディングするも枠を外します。するとそのゴールキックからの流れ、縦パス1本に佐藤が反応、確実にネットを揺らして0ー2。味スタが沈黙に包まれました。東京は、「五輪代表から帰ってきた平山、梶山のプレスが甘かった」と原監督が振り返ったように前からのプレスがかからず、CBにルーキーの吉本が入った影響からか、SBが中に絞りすぎて逆サイドがガラ空きというシーンが頻発。27分には右サイドで寄せがルーズになった隙を突かれて、ウェズレイにこぼれ球を押し込まれ0ー3。試合はおそらく広島サポーターですら予想しなかったであろう展開を迎えます。すると「ちょっと自信を失くしているように見えた」(原監督)吉本は藤山と交替。ルーキーにとって生涯忘れえぬであろうデビュー戦は、彼にとって29分間の試練となりました。広島はカウンター気味の攻撃こそ多かったものの、ウェズレイと佐藤の正確なポストプレーからピッチを左右ワイドに活用。ダイレクトパスとフリーランニングのタイミングも抜群で、充実したキャンプを送ってきたことが容易に想像できる素晴らしい内容だったと思います。後半、原監督は梶山に替えて馬場を投入。すると49分にはその馬場からのボール、中央切り返しで粘ったルーカスがゴール。2点差に迫ります。しかし52分、またもエアポケットを広島ツートップが見逃さず、ウェズレイがこの日2点目。ここで実質、大勢は決しました。その後は、東京がボールこそ支配するもののシュートまで持ち込むには至らず。広島は常にツートップがカウンターからの脅威を与え続けるといった形に。61分に馬場のFKから再びルーカスがゴールを奪いますが、いくつかあった決定機をモノにできず、2ー4で終了。広島がアウェイの地で開幕戦勝利を挙げました。結果を正当に評価するなら、おそらくは「FC東京惨敗」ではなく、「広島完勝」の方でしょう。確かに今日の東京、いいとは言えなかったですが、そこまで悪かったわけでもないはず。それよりも広島が素晴らしい試合をしたというのが正しい表現のような気がします。　　AD土屋