本田圭佑を擁して旋風を巻き起こした一昨年以来2年ぶりの国立を狙う石川・星稜と、3年前に同じ九州から初出場で準優勝を飾った筑陽学園の姿がダブる鹿児島代表・神村学園の準々決勝。応援のスタイルも、星稜は「かっとばせ〜」とハッキリ言っちゃう潔い野球風に対して、神村学園はジャジーなビッグバンドが途切れる事無く演奏を繰り広げていました。と、そんなことに注目してしまったように、前半はあまりスリリングなシーンが見られない流れ。ほぼ互角の展開の中、星稜は花井慎吾(2年)と岡本雄介(2年)、共にG大阪育ちのダブルボランチから前線へいいボールが送られていましたがシュートまで行けません。神村も永畑祐樹(2年)が高い技術をベースに攻撃への意欲を見せるも、左サイドに流れ過ぎる傾向があり、決定機は作れないまま40分が終わりました。膠着状態は後半に入ってからも変わらず、どうにもこうにもチアガールに興味が移ってしまいそうな不埒な心は、しかし64分、突然ピッチに引き戻されます。ここまで足元に空中戦にと圧倒的な安定感を誇っていたUー17候補の星稜CB鈴木大輔(2年)が自陣で始めたドリブルを神村の芝貴希(3年)がカットしてそのままスルーパス。これを後半投入された五領淳樹(2年)が冷静に流し込み、双方通じて後半初の枠内シュートで神村が先制しました。すると3分後、芝のFKにキャプテン塗木竜也(3年)がダイレクトボレーを叩き込んで追加点。聖地への道をグッと引き寄せます。終盤、星稜は鈴木をトップに上げて総攻撃に出ますが、最後までゴールは奪えず。0ー2で、神村学園が鹿児島勢としては4年連続となる国立でのプレーを決めました。星稜は、3年間ゴールを守り続けたGK小倉朋也(3年)と鈴木を軸にした守備が非常に堅固で、失点の可能性もかなり少ないように見えたのですが、たった1度のミスとセットプレーに泣く形となりました。神村はボックス気味の中盤で、オフェンシブな2人が流動的に動くので捕まえにくいのは確か。前述しましたが、永畑がもう少し中央でプレーしたら次の試合も面白いんじゃないかなあと思います。　　AD土屋