「totoを難しくしちゃったかな」とは高木監督。今シーズンJ2最大の山場は、誰もが予想だにしなかった凄まじい展開になりました。結果いかんでは3年連続となるあの舞台が一気に現実味を帯びてくる柏。何とメンバー表には山下、ノグチピントと今季リーグ戦初出場の2人がスタメンとして書き込まれました。一方の横浜FCは早川が復帰、チョンヨンデがボランチに入るベストメンバーで臨みます。序盤は完全に横浜FCのゲーム。前線からかかる城とカズの厳しいプレスに、柏は前に蹴ることしかできず防戦一方でしたが、先にリードを奪ったのはその柏。27分、ディエゴの柔らかいFKは岡山の頭を経由してネットへ。最初の決定機を見事に生かしました。このゴールを機に、山下へとボールが入るようになり、逆に柏がリズムを作り始めましたが、そんな中で生まれたゴールは横浜FC。43分、カズから城とつないで左に展開、チョンヨンデの極上クロスにアウグストが頭で飛び込みます。完璧に崩して奪ったゴールは美しさすら感じさせる一撃で、試合は振り出しに戻りました。後半も流れは変わらず横浜FC。59分には「僕の、そして選手の勝ちたいという気持ちがそうさせた」(高木監督)アレモンの投入で、一層攻勢を強めます。手詰まりになった石崎監督は、66分に動きの落ちた山下とフランサをスイッチ。すると、10番はファーストタッチで絶妙のパスを繰り出し、PKを誘発。倒されたディエゴが自ら沈め、劣勢だった柏が再び勝ち越しに成功します。さらに3分後にはディエゴのバスを平山がクロス、フランサが折り返すとそこにはディエゴ。たった5分間で3ー1と試合は劇的に変容しました。ここで逆に追い込まれた高木監督はアウグストを右に配置し3トップに。78分にはチェソンヨンを送り出し、勝負に出ます。「3トップを抑えたかった」(石崎監督)柏は、80分に平山と近藤を交替させて石川を3バックの左から左WBにずらしましたが、これが致命傷になりました。2分後、こちらも投入されたての滝澤がクロス。最初のシュートはノグチピントが驚異的な反応で掻き出しますが、アレモンに押し込まれ1点差。混乱した柏の最終ラインを尻目に、その2分後にはチェのクロスを受けた城が粘ったボールとGKがなぜか入れ替わり、無人のゴールに再度アレモン。死力を尽くした熱戦は3ー3というハイスコアで決着しました。正直、横浜FCが3トップにしてからチャンスはほとんど作れてなかったんです。攻められてはいたけど柏の3バックも安定してましたし。でも80分の交替で一気にバランスが崩れました。アレモン、チェ、滝澤と切ったカードがことごとくハマったのとはあまりに対照的でした。高木監督は会見で「2点差を追い付いたことより3失点したことが悔しい。選手たちはよく頑張ってくれたが、結果は勝ち点1以上のなにものでもない。」と冷静でしたよ。残り5試合、果たしてどんな結末が…　写真はおなじみ浅野哲也さん。本当にいい人でカッコいいんです。カラオケもうまいっす。　　　AD土屋