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2ゴールともに、まさに「美しいゴール」。なんという落ち着きだろう。
混戦の中で押し込むようなゴールでも、クリーンシュートでもサッカーではすべてが1点だ。しかし、小川のゴールはいつもそのシュート技術を見せつけるような美しい軌道のシュートばかり。小川のシュート技術を見るだけでも、入場料を払う価値はある。
小川航基は桐光学園高校時代からシュートのうまさでは定評のある選手だった。年代別日本代表にも入り、将来が嘱望されていたが、高校卒業後にジュビロ磐田に入団してからはすっかり伸び悩んでしまっていた。2019年には水戸ホーリーホックにレンタル移籍して、17試合で7ゴールを決めてみせたものの、磐田に復帰後はゴール数も増やせず、Jリーグで6年プレーしたものの、通算得点数は18点に留まっていた。
今シーズン。横浜FCに移籍した小川は、まさにその眠っていた才能が開花した形で1試合1ゴールのペースでクリーンシュートを決め続けているのだ。このゴール量産ペースがどこまで続くのか。今シーズンのJリーグの注目点の一つであろう。
このパフォーマンスが続くとすれば、当然、日本代表入りの可能性も出てくる。日本代表はチャンスは作りながらも得点に結びつけられない試合が多く、これまで絶対のワントップだった大迫勇也の調子が上がらないとすれば、ワールドカップでトップを務めるのは誰かという争いになる。もちろん、上田綺世や浅野拓磨、前田大然といった選手が有力候補となるのだろうが、今の小川のシュート技術の高さを考えれば、少なくとも6月の日本代表の活動時には招集してみる価値はある。
あるいは、今の状態が続けば夏には海外移籍などという可能性もあるのかもしれない。
首位を独走している横浜FCだが、ほとんどが1点差の勝利。ということは、その勝点の多くは小川の得点力によってもたらされたものということになる。
代表ウィークにもJ2リーグは継続されるわけだし、夏にJ1のクラブや海外のクラブに小川が引き抜かれる可能性もあるのだから、横浜FCとしては今のうちに勝点差を大きく広げておきたいところだろう。4月27日の第12節には、2位のFC町田ゼルビアとの直接対決も控えている。
横浜FCと小川航基から目が離せない。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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