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サッカー フットサル コラム 2022年3月23日

サッカーは気象条件との勝負。悪コンディションでは、それなりの工夫が必要だ

後藤健生コラム by 後藤 健生
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もちろん、大学女子の試合とJ1リーグの試合では、技術レベルも、プレー強度も、スピードもまったく違うということは承知しているが、それにしても大学生の女子選手が雪の中でのプレーを工夫していたのだから、プロ選手たちも雨に合わせたプレーを試みてほしかった。

雨中のプレーというとすぐに引き合いに出されるのが、あのドラガン・ストイコビッチの「空中ドリブル」だ。ボールを浮かせて、雨のグラウンドに落とさずに数十メートルも運んだあの映像は、今でも何かというとよく放映される。

最近で印象的だったのは、旗手怜央のドリブルだ。旗手が順天堂大学在学中のことだ。

その日は、関東大学リーグ戦が千葉県の柏の葉競技場で行われたのだが、台風が接近して大雨となり、ピッチはぬかるんで、台風接近とともに風も強まっていた。そんな悪条件の中で、旗手だけは普通の芝生の上で行うと同じように、自由にドリブルでボールを運んでいたのだ。

旗手は、フィジカル的な強さがあり、重心が低い姿勢でプレーするのでぬかるみにも強かったのであろう。そして、ボールテクニックがあるので、不規則なボールの挙動に合わせられたのだろうが、この時の旗手のプレーぶりは今でも忘れることができない。

さらに、遠い昔の話で恐縮だが、1994年にキリンカップで来日したフランス代表の雨中でのプレーは圧巻だった。

この時の大会にはフランスとアルゼンチンが招かれていたが、薬物疑惑があるディエゴ・、マラドーナの入国を日本政府が認めなかったため、アルゼンチンが来日を拒否。代わってオーストラリア代表が来日した。そして、フランスとオーストラリアは神戸のユニバー記念競技場で顔を合わせた。

フランスは、ホームでの最終戦でブルガリアに敗れて予選敗退となってしまったが、エリック・カントナやジャン=ピエール・パパン、ユーリ・ジョルカエフを擁するチームで、もしワールドカップに出場していたら優勝も狙う力があったはずだ。

ところが、この時も神戸には台風が接近。風雨が強く、またJリーグ開幕前のことで芝生の状態も悪かった。

すると、フランスは水たまりでボールが止まるのを避けるために、ロングレンジの浮き球のパスをつなぎはじめたのだ。普段は正確なショートパスをつなぐフランスが、ピッチ・コンディションに合わせてプレースタイルを変え、それを完璧に実行したのだ。

雨でも、そうした「工夫」がほしいのである。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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