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サッカー フットサル コラム 2021年11月26日

千葉寛汰と渡邊星来のコントラスト。ストライカーはいつでもゴールがすべて【高円宮杯プレミアリーグEAST 青森山田高校×清水エスパルスユースレビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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【Foot!THURSDAY】高円宮杯 プレミアリーグ2021 EAST 第7節 清水エスパルスユース vs 青森山田 青森山田 渡邊 星来 選手 インタビュー

緑の17番。渡邊星来は唇を噛み締めた。負けられない大一番のホームゲームもベンチスタート。チームメイトの負傷もあり、後半からピッチに解き放たれたが、3度訪れたチャンスをいずれもモノにできず、チームも手痛い黒星を突き付けられる。

とりわけ後半38分の一撃はスーパーだった。藤森颯太のフィードから、小湊絆が頭で落としたボールを胸でトラップした渡邊星来は、右足でマーカーを外しながら反転すると、左足で豪快にボレー。枠を捉えていた軌道は、しかし相手GKのファインセーブに阻まれる。その一連は、まるでトヨタカップのミシェル・プラティニ(わかる人はわかるはず!)。だが、得点には至らなかった。

今シーズンはリーグ開幕から2トップの一角として定位置を確保し、インターハイの優勝も主力として経験した渡邊星来だが、ここに来てスタメン落ちする試合も多く、なかなか結果も付いてこない。本人が抱える悔しさや焦りは十分に想像できる。

彼を見ていると、ある“先輩”の存在を思い出す。3年前。やはり11月に青森で行われたプレミアリーグの首位攻防戦。シーズン序盤はスタメンで活躍しながら、徐々にベンチスタートが増えていったその“先輩”は、重要な一戦にも出場機会を与えられなかった。試合後。偶然歩いていた姿を見つけ、声を掛ける。元来がポジティブな性格。「諦めないで頑張ります!」。力強くは言い切ったものの、おそらくは空元気。ストライカーが、その状況に納得しているはずもなかった。

その1か月半後。“先輩”は埼玉スタジアム2002でチームを救う。高校選手権準決勝。1点ビハインドの後半41分にピッチへ送り込まれると、その1分後に相手のクリアを自分の体に当て、こぼれ球をゴールに泥臭く流し込む。土壇場で追い付いた青森山田は、PK戦の末に決勝へと進出。大舞台で“ジョーカー”が煌めいた。

そして、決勝だ。2-1でリードした後半のラスト10分で投入された“先輩”は、後半43分に決定的なチャンスを迎える。GKとの1対1。それまで何度もそういうシーンを外し、頭を抱える光景を繰り返していた“先輩”は、冷静にゴールを陥れ、チームの日本一を決定付ける。11月の青森で複雑な感情を押し殺していたストライカーは、一番大事な2つの試合で、強烈な結果を残すことに成功した。小松慧。『炎のストライカー』である。

諦めるのは簡単だ。投げ出した方が楽になれる。ただ、その選択からはきっと何も生まれない。何より3年間に渡って努力を積み重ねてきた自分を、裏切ることになる。

渡邊星来の姿が、小松のそれと重なる。ストライカーは結果がすべてだ。ゴールを決めるか、決めないか。これだけが評価に直結する。ならば、ゴールを決めればいい。これからやってくる大事な試合で、特別なゴールを決めればいい。それだけの力が、青森山田の17番には間違いなく備わっている。

渡邊星来

 

文 土屋雅史

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土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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