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日本には、優秀なFWはたくさんいるが、そうした前線でボールを収めて時間を作ることができるのは、大迫が唯一無二の存在だったのだ。
故障していた大迫も、幸いにも11月の代表ウィークを前に復活して神戸でも得点を決めた。
だが、大迫がまだ本調子ではないとすれば、11月のシリーズでは絶好調の古橋や前田をトップで使ってみることも考えらえられるのではないか。
もちろん、今までと違ったことをするのはリスクもある。慎重な性格の森保一監督は、最終予選ではこれまで経験豊富なベテランを中心に起用してきた。
だが、11月の連戦はともにアウェーの戦いである。そして、ヨーロッパのクラブに所属している選手たちにとっては、週末の試合を終えてからベトナムのハノイまでの移動を経て木曜日に試合をするという強行日程となる。「帰国してすぐの木曜日の試合」というのは、9月のオマーン戦を見ても分かる通り、日本代表にとっては一種の鬼門なのだ。
とくに、ハノイまでの移動の負担は日本への帰国よりも大きくなってしまう。
そんな時だからこそ、ベトナム戦とオマーン戦では選手の起用法を変え、ベトナム戦では移動の負担が軽くて済む国内組を中心に戦うべきだ。
そこで、故障明けの大迫には休養を与えてオマーン戦に備えさせ、“乗っている”前田大然をトップで起用してみてはどうなのだろうか? 日本代表にとって、対戦相手のベトナムは明らかに格下の相手であり、その意味でも新しい試みをするにはうってつけの試合とも言える。
森保監督が就任以来作り上げてきた「ラージグループ」を活用するためにも、ここで積極的に新しい選手を試しておきたい。
従来通り、大迫をトップに置いて前線で起点を作らせるやり方と、古橋や前田をトップで起用して相手の裏を使うやり方と、2つのパターンを使分けることができれば、日本代表の戦い方の幅は大きく広がる。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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