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サッカー フットサル コラム 2021年8月27日

絶対王者・青森山田高校を最も追い詰めた米子北高校のしたたかな献身

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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「この試合はロングスローばかり入っていたので、失点の場面はボールを見ていなくて、そういうところに気の緩みが含まれていたことで、失点に繋がったのかなと思います」と振り返ったのは米子北のキャプテンにしてディフェンスリーダー、鈴木慎之介。小原のクロスに合わせた丸山大和のヘディングが、味方に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれたという幸運もあったが、「常にセットをするのではなくて、ショートクイックでやってから放り込むことも常に考えておけということは言っていましたので、それは彼らの判断が良かったのかなと思います」と黒田監督。土壇場での“機転”が青森山田の息を吹き返させ、延長後半での劇的な決勝点へと繋がっていった。

勝機はあった。GKの山田陽介、鈴木と飯島巧貴のCBコンビを中心にひたすら耐え忍ぶだけではなく、カウンターから何度か追加点機も迎えていた。決して守るだけではなく、機を見て得点を狙うスタイルは、したたかなぞれ。決してただの献身的なチームではない所に、彼らの凄味があったことは強調しておきたい。

延長前半にミドルシュートとカウンターから2度のチャンスを迎えた佐野は「フィニッシュの精度が低かったので、そういうところも本当に反省しないとダメですし、あそこを決めていたらチームも勝っていたので、この経験を生かしてトレーニングしたいと思います」と試合後に語った。90分間奮闘し続けた佐野を責めることは決してできないが、彼のポテンシャルを考えれば、冬までに『経験を生かしたトレーニング』がどう実を結んでいくのかは、おおいに期待したいところでもある。

中村監督は決勝直後のミーティングで、選手たちにこう語り掛けたという。「『“もうちょっと”という考え方ではなくて、日常から変えていって、もう1回冬の選手権で決勝まで行けるように、決勝でまた違う結果が出せるように、日常から変えていこう』という話はしました」。

大舞台で味わった“もうちょっと”は、きっと確実に彼らの日常を変えていく。絶対王者を追い詰めた、したたかな献身。真夏の福井に米子北という爽快な熱風が、力強く吹き抜けた。

文 土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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