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試合を動かしたのは9番を背負ったストライカー。前半9分。福田秀人が左サイドから果敢なドリブルでエリア内へ侵入すると、たまらず青森山田DFが倒してしまい、米子北にPKが与えられる。帝京戦でも先制点を奪っていた福田だが、スタメン起用されたのは3回戦から。「フォワードとしてゴールに向かうところ」が特徴だと自ら語る2年生FWが獲得したPKを、チームのエース・佐野航大がきっちり沈め、米子北が先制点を奪ってみせた。
この1点が彼らに大きな勇気を与えたことは言うまでもない。加えて、「2トップに対してセンターバックがチャレンジアンドカバーでしっかり守って、サイドがあまり絞り過ぎないように、サイドはサイドをしっかり守ろうと指示しました」と指揮官が語ったように、準決勝は躍動した青森山田の両サイドハーフ、右の藤森颯太、左の田澤夢積に対し、米子北の両サイドバック、左の海老沼慶士、右の原佳太朗が粘り強く食い下がり、良い形でクロスを上げさせない。さらに渡部颯斗と木村愛斗の両サイドハーフもきっちり守備に回り、サイドに強固な蓋を。青森山田にとって、準決勝とは逆にサイドでの主導権を握り切れなかったことは、全体のアタックが単調になる一因となった。
さらに大事なポイントは、10番の“ヘディング”。青森山田の十八番、多久島良紀が投げ入れる超高校級のロングスローは、佐野がことごとくニアサイドで弾き返す。前半29分にはロングスローから、青森山田のFW渡邊星来が放った決定的なシュートはクロスバーにヒットしたが、1試合を通じてロングスローからの決定機はこの1回ぐらい。王者のストロングを佐野の“個”で消し去ったのは、米子北が続けた無失点に大きな影響をもたらしていた。
ただ、後半34分に記録された青森山田の同点弾は、彼らの“機転”を称賛するしかない。この場面でスローインを任された多久島は、再三跳ね返されていたロングスローではなく、短いボールを小原由敬へ投げる。
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