人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2021年8月19日

三笘、田中が抜けた後で……。フロンターレの主力組から若手選手へのレッスン

後藤健生コラム by 後藤 健生
  • Line

谷口は、前線に鋭いパスを連発し、しかもパスの角度を急激に変えることで相手の守備を攪乱し続けていた。田中が退団し、大島僚太は負傷中という川崎の中盤の事情を考えれば、もし、車屋や山村などがセンターバックとして定着できるのなら、鬼木監督としても谷口は中盤で起用したいところだろう。

こうして、川崎の攻撃は完全に谷口を中心に回っていたのだ。ところが、前半19分に相手選手と接触した谷口は治療をしていったんは復帰したものの、22分に交代となってしまった。

谷口の交代で橘田がアンカーに回ったのだが、やはり荷が重かったのか、期待通りのプレーはできなかった。また、開始直後は積極的にシュートを狙っていた宮城も、相手DFとの当たりで劣勢になったことで次第にプレーが消極的になってしまった。

それでも、57分にPKで先制した川崎だったが、64分にはロングボールからつながれ、後藤優介からの大きなクロスを中山克宏に決められてしまう。その後、再び川崎がパスを回すものの、相手の守備を崩しきれないで時計の針だけが進んでいった。2回戦、3回戦と同じ1対1のスコアだ……。そして、69分、ついに鬼木監督はレギュラー組の主力を3人同時にピッチに送り込んだ。

アンカーにはジョアン・シミッチ、ワントップにはレアンドロ・ダミアン。そして、左サイドにも長谷川竜也が入った。

効果は覿面だった。

新しく入ったレギュラー組の攻撃陣はもちろん、前半から出ていた選手も含めて展開が明らかに変わったのだ。レギュラー組が入ったとたんに、1人々々の動きが大きく、そして速くなったのだ。「いつもと違うメンバー」が出ていた時には、互いの動きを確かめるように慎重にプレーする場面が多く、きれいにパスは回っていても相手の弱点をえぐるような動きはなかった。それが、主力組が入ったとたんに、いつもの川崎の動きに戻ったのだ。

そして、主力組投入のわずかに5分後に決勝点が決まった。ジョアン・シミッチが右サイドから左に大きくサイドチェンジ。受けた旗手が思い切りよくペナルティーエリア内の奥、ゴールラインいっぱいまで強引に持ち込んで、中央にいたレアンドロ・ダミアンに正確なクロスを送り、レアンドロ・ダミアンは、浮いたボールを頭で叩きつけるだけだった。

ただ、きれいにパスを回すだけでは相手の守備は崩れない。相手がいちばん嫌なところに絶妙のタイミングでボールを送り込み、またドリブルで持ち込んでいく。これが、「相手を崩す」ということなのだ……。それは、まるでレギュラー組の選手から、この日出場した経験の浅い選手たちへのレッスンであるかのようだった。

これから、リーグ戦に加えてカップ戦やACLもあって、日程は過密になっていく。三笘と田中が抜けた川崎が、これらのコンペティションで好結果を残競るのか否か。それはすべて、「若い選手たちが清水戦でのレッスンから何を学んだのか」にかかっているのではないだろうか。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ