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サッカー フットサル コラム 2021年8月4日

世界最高峰のパス・サッカーとの真剣勝負。スペインとの120分間の死闘はA代表強化に直結

後藤健生コラム by 後藤 健生
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つまり、日本の守備は見事に機能したのだ。

これは、相手がパス・サッカーを志向するチームだったからだ。日本にとって最も嫌なのは強烈なフィジカル能力を持った選手によるパワープレーなのだ。

2014年ブラジル・ワールドカップの初戦で、日本はコートジボワール相手に先制しながら、後半から出場したディディエ・ドログバに対して敬意を払いすぎて逆転を許してしまったし、ロンドン・オリンピック3位決定戦では韓国の強力なトップを止められなかった。

だが、スペインの攻撃のクオリティーは非常に高かったものの、論理的なパスで崩してくる相手には日本のDFは対応できるのだった。

ところが、それは「逆もまた真」だった。

スペインは、準々決勝のコートジボワール戦では延長戦を含めれば5対2で大勝したが、崖っぷちまで追い詰められた。後半のアディショナルタイムに失点し、そして、その後終了直前に追いついてなんとか延長に持ち込んだのだ。

やはり、スペインとしてもフィジカルの強さを前面に出してくるコートジボワールのような攻撃に対しては守りにくかったのだろう。だから、2失点したのだ。

ところが、日本はパスをつないで攻めてくる。そして、パス・サッカーということではスペインは日本よりはるかにクオリティーが高い。従って、スペインの守備陣は日本のパスコースをすべて読み切って、日本の攻撃を完封できたのだ。

日本としては、パス・サッカー志向ではない相手(たとえば、コートジボワール)と戦っていたら、相手のフィジカルにつぶされて失点したかもしれないが、逆に、日本の機動力が生きて得点も生み出すことが出来ていたかもしれない。

いずれにしても、パス・サッカーを志向する日本代表が、パス・サッカーという意味で世界最高峰の(それも、A代表に近いレベルの)スペイン代表との戦いを経験できたのだ。本当に貴重な経験だった。

しかも、U-24日本代表の守備陣は酒井、吉田、冨安健洋(スペイン戦は出場停止)とA代表のDFラインが揃っている。ボランチの遠藤航もA代表の中心だし、田中碧もA代表のレギュラーを狙う選手だ。また、手薄と言われていた左サイドバックでも、今大会を通じて中山雄太が長友佑都の後継争いに名乗りを上げた。2列目の堂安律や久保建英も、もちろんA代表の貴重な戦力だ。

つまり、スペインとの真剣勝負という貴重な体験は、カタール・ワールドカップを目指しているA代表の強化に直結するのである。敗戦は残念だったが、あれだけのレベルのチームを送り込んでくれたスペインには大いに感謝すべきであろう。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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