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実際、川崎が前線でプレスをかける時には、その点もぬかりはない。
だが、スペインやイタリアのプレッシングはさらに組織的で緻密だった。
例えば、スリートップの右サイドの選手が相手の左サイドバックにプレスをかけるとしよう。その時に、当然相手選手はボールをつないで、プレスをかいくぐろうとする。スペインやイタリアの選手たちは、その、プレスから逃がれるためのパスコースをことごとく消してしまうのだ。
右サイドの選手がプレスをかけた時に、中央の選手は相手のセンターバックに対してかなり近い位置を取ってパスを通さないようにする。センターよりもボールからの距離が遠い左サイドの選手は相手選手2人くらいを見て、どちらにパスが出てもすぐに寄せられる位置を取る。もちろん、MFたちもしっかりと相手のパスコースを消していく。
こうして、相手チームはパスの出しどころがなくなってしまうのだ。
つまり、こういうことだろう。
川崎フロンターレの選手たちが前線からプレスをかける時には「プレスをかければ相手はミスをする。そのミスを拾う」という原理で動いているのだ。ユナイテッド・シティー戦で長谷川がプレスをかけた瞬間、中央にいた知念は相手がミス(バックパスという選択のミス)を犯すという前提で、バックパスのコースに入って、実際にパスをカットして、そのままシュートを決めたのだ。
だが、スペインやイタリアのレベルになると、プレッシングをかけたくらいで相手はそう簡単にはミスはしてくれないのだ。「相手はミスをしない。プレスをかいくぐってパスをつなぐ」という前提で、1つ2つ先のパスまで読んでマークを詰め、プレスをかけ続けなければならないのだ。
スペイン対イタリアの試合は、両チームがスキのない形でプレスをかけ合ったため、なかなか決定機が生まれないまま前半が終了した。しかし、プレスをかいくぐってパスを回す技術では間違いなくスペインが上回っていたため、スペインのボール保持が長く、イタリアはセンターバック2人の個人能力で中央に蓋をしてしのぐ時間が長くなってしまった。
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