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サッカー フットサル コラム 2021年5月21日

オリンピックまであと2か月……開催可否についてスポーツ界からの発信を期待する

後藤健生コラム by 後藤 健生
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しかし、スポーツ界からは2021年の東京大会の開催の是非について、ほとんど声が上がってこない。息を潜めて、あるいは不都合なことには目を閉ざして、政府の決定をじっと待っているようだ。

そんな中で、テニスの錦織圭は記者会見で「死人が出てまでも行われることではない」と語ったし、大坂なおみも「もしオリンピックが人々を危険にさらすのであれば、今すぐに議論すべき」と語ったと伝えられている。

至極常識的で、真っ当な意見だ。

錦織や大坂がこうした発言ができたのは、テニス・プレーヤーにとってはオリンピックという大会が最高の大会ではないからでもある。彼らにとっては、何よりも「グランドスラム」と呼ばれる四大大会が最高の目標であり、オリンピックはそれに準じる大会だ。もちろん、東京で開催されるので今年の大会は錦織や大坂にとっては特別のものではあろうが……。

同様に、プロ・スポーツとして確立されている人気競技の場合はオリンピックというのは最高の大会ではない。

男子サッカーではオリンピックというのはあくまでもU−24の大会でしかないし、野球人にとってはプロ野球のペナント争いの方がずっと大事。アメリカのメジャーリーグの選手はオリンピックには出場すらしない。バスケットボールはアメリカのドリームチームをはじめ、NBAの選手が各国代表としてオリンピックにも参加するが、NBAのタイトルの方が大事なのはあたりまえのことだ。

錦織や大坂がオリンピック開催の可否について、はっきりとした口調で語ることができたのは、彼らにとってオリンピックは最高の目標ではないからであり、また個人競技なので所属団体への遠慮もいらなかったからだろう。

だが、プロとして確立されていないスポーツ。あるいは、人気が低迷しているいわゆるマイナー競技の選手や団体にとってはオリンピックの持つ意味は非常に大きい。

オリンピックの時には全国民が注目するのに、オリンピックが終われば誰もが忘れてしまい、テレビ中継もされなくなってしまう。そんなマイナー競技の選手たちにとっては、オリンピックで好成績を上げて人気を獲得していくことはまさに死活問題だ。こうした競技の団体や選手たちは、オリンピック開催の可否について発言できるわけはない。

しかし、日本のスポーツ界の中心にある日本スポーツ協会やJOC、あるいは各競技団体(とくにメジャー競技の団体)のリーダーたちには、スポーツ人としての意見を表明できるはずだ。それが、国民の共感を得ることにつながるし、それが日本のスポーツの将来にとって大きな財産となるはずだ。

もし、スポーツ界が何も語らないままオリンピックが強行開催されて感染の再拡大を招いてしまったとしたら、責任追及の声はIOCや政府だけでなくスポーツ関係にも向いてくるだろう。そうなったら、日本のスポーツ界は国民の支持を失ってしまう。

黙って、唯々諾々と政府の言いなりになるのはもうよそう。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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