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しかし、いずれにしてもヘディングというプレーが危険なものであることには変りない。
ボールが当たった衝撃で脳にはどういった影響が起こりうるのだろうか。
現代のサッカーで使われているボールは、空気を入れたゴムチューブの周囲を人工皮革で覆ったものだ。かつてのように天然皮革を使ったボールのように水に濡れて極端に重くなることもないので安全のようにも思えるが、同時に現代式のボールはキックの初速が速いので脳に与える衝撃もかえって昔のボールよりも大きいとも言われている。
だが、ヘディングに関する危険はこれだけではない。
両チームの選手が1個のボールを巡ってヘディングで競るのだ。いわゆる「空中戦」である。勇猛果敢な空中戦も、サッカーの中でも魅力的なプレーの一つでもある。
だが、空中戦では両チームの選手が頭と頭をぶつけて倒れるような場面をよく見かける。あるいは、より低いボールに対して頭から突っ込んでプレーする場合には、相手選手の足が頭部に当たってしまう場面もしょっちゅう見かける。今シーズンから脳震盪による交代が認められたとしても、ヘディングというのはやはり危険がある行為なのだ。
若年層でヘディングの練習が制限(あるいは禁止)されるのは当然のことであろう。
では、トップクラスの選手たちの試合ではヘディングは野放しにしていいのだろうか。
もし、将来の研究でヘディングが危険なものであることが証明されたとしたら、日本サッカー協会は、というよりもFIFAあるいはサッカーのルールを司るIFAB(国際サッカー評議会)はどうするのだろうか?
ヘディングが危険なプレーであるのだとすれば、禁止せざるを得ない。だが、ヘディングなしのサッカーなど、想像できるであろうか?
ヘディングというサッカー特有のプレーは1863年にロンドンでサッカー協会(FA)ができた当初のサッカー・ルールにはなかった。ヘディングというのは、ロンドンのFAとは別の組織で、独自のルールでフットボールを行っていたシェフィールド(イングランド中部の製鉄の町)で発明され、後にFAルールにも取り入れられたものだった。
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