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ところが、続く札幌との試合では、そうした見せ場もまったく作れずないまま終わってしまったのだ。
浦和は、横浜FM戦とは選手の配置をかなり変更していた。
たとえば、横浜FM戦では本職のボランチでプレーしていたベテランの阿部勇樹が右サイドバックに入り、横浜FM戦ではトップにいた小泉がボランチに下がっていたのだ。
宇賀神は、左サイドが本職ではあるものの、タッチライン際でプレーするのがうまい、生粋のサイドバックだ。だが、阿部はボランチが本職で、センターバックもこなすが、サイドバックは本来のポジションではない。また、阿部が不在となった中盤では、札幌のプレッシャーによってボランチのところでボールを失う場面が増えてしまった。
小泉にしても、横浜FM戦でボランチに入っていた伊藤敦樹にしても、プレッシャーを受けるとボールを失ってしまう場面が多すぎるのだ。だからこそ、阿部には、やはりボランチにいてほしいのである。
浦和が苦しんでいる理由の一つは、今シーズン新たに加入した右サイドバックの西大伍が故障のために戦列に加われないことがある。西は、右サイドバックが本職であり、同時にボランチも、あるいはインサイドハーフも高いレベルでこなせるマルチな選手であり、まさにリカルド・ロドリゲス監督が求める攻撃的なサイドバックにぴったりの選手だ。このポジションに、西がはまれば、浦和の攻撃力はかなり上がるはずだ(そして、もちろんトップでボールを落ち着かせる興梠信三の復活も待たれる)。
今は、リカルド・ロドリゲス監督としてもまだ選手の能力や適正を実戦の中で見極めている段階なのであろう。選手の配置がちょっとでも違うと、パフォーマンスの水準は大きく変わってしまう。そんな、試行錯誤の段階なのだ。
浦和としては、一つひとつのゲームの結果に一喜一憂することなく、まずはチームの成長を見守りながら、西、興梠の復活の日を待つことが大事であろう。次の第6節では、浦和は川崎フロンターレとの対戦となる。強い相手との対戦することで、隠れていた潜在力が引き出されるということもよくあることなので、王者、川崎を相手に浦和がどのようなプレーをするのか、しっかりと見守りたい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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