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サッカー フットサル コラム 2021年2月4日

サウサンプトンの現状は南野にとって追い風になるか!?

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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南野拓実

サウサンプトン移籍が決まった南野拓実

トッテナムやウェストハム、ポーツマスなどを指揮し、イングランド代表の監督候補にも挙げられたことのあるハリー・レドナップは、南野拓実に辛辣だった。

「必要がないから、リヴァプールはサウサンプトンに放出したのだろう。必要な選手なら、ローンでも手放さない」

しかし、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督は、断腸の想いで南野のローン移籍を決断したという。

「できるものなら留めておきたいが、残念ながらタキ(南野の愛称)には継続的なチャンスを与えられず、そのような状況を招いた責任は100%わたしにある。ただ、タキの獲得は長期的なプロジェクトの一環であり、彼の才能をより磨くためにも、サウサンプトンは理に適っている」

レドナップは経験則にのっとって、クロップは現状をふまえながら発言している。両者の立場は違うのだから、内容が一致しなくても不思議ではない。

さて、南野がサウサンプトンにやって来た。移籍の詳しい経緯は他に譲るとして、はたして彼が新天地でどのような役まわりを託されるのか、興味津々である。

今シーズンのサウサンプトンは、4-4-2が基本陣形だ。2トップはダニー・イングスが絶対的な存在で、中盤を操るジェイムズ・ウォード=プラウズはFKの名手だ。チーム全体にハードワークの精神が浸透しており、その激しいプレスで1月4日のリヴァプール戦に1-0の勝利を収めている。

試合終了後、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督は男泣き……。

この監督と南野は、相性がよさそうに感じられる。ウィットに富んだジョークで人を笑わせたり、他愛もないイタズラではしゃいだり、選手との距離感がクロップに似ているからだ。また、南野の特徴ともいうべきプレス能力も、ハーゼンヒュットルのゲームプランに合致する。だからこそクロップは、「サウサンプトンは理に適っている」と発言したのだろう。

もちろん、サウサンプトンにおける定位置争いも非常に厳しい。イングスの相棒は、フィジカルで南野を大きく上まわるチェ・アダムズだ。スピード豊かなテオ・ウォルコット、ネイサン・レドモンド、ムサ・ジェネポも新加入の日本人を歓迎しつつ、あっさりと引き下がるはずがない。

ただ、サウサンプトンの現状が、南野にとって追い風になるかもしれない。リヴァプール戦(前出)の後は4連敗。わずか1ゴール。2月2日のマンチェスター・ユナイテッド戦ではふたりの退場者を出し、0-9の屈辱を味わっている。

気分一新、南野を試す絶好の機会が訪れた。しかも、次節(現地時間2月6日に開催)はニューカッスル戦だ(現地時間2月6日に開催)。直近5試合は1勝4敗、10試合では1勝2分7敗。極度の不振に陥っている。

先発か、あるいは途中出場か。南野にはチャンスが与えられる公算が大きい。リヴァプールで溜めたうっぷんを一気に晴らし、レドナップの目が曇っていたことを証明しようじゃないか。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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