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安井のプレーが反則であるかどうかはレフェリーの判定基準の問題なのであって、けっして「明らかに間違っている」判定ではない。従って、本来VARを適用すべきではなかったのだ。
そして、同じ頁に「次の4つの事象+主審が確認できなかった重大な事象のみに介入します」として、VARが介入するのは「得点かどうか」、「PKかどうか」、「退場かどうか」、「警告退場の人間違い」の4つが例示されている。
ヴィッセル神戸の試合では準々決勝の水原戦でもVARが適用された。
1点を追っていた前半35分に抜け出した西大伍が倒された場面で、主審はPKを宣告し、張鎬翼(チャン・ホイク)にイエローカードを提示した。だが、ここでVARが介入する。その結果、PKではなく直接FKとなり、また張鎬翼の警告が取り消されて金泰煥(キム・テファン)が一発退場となった。
この場面では神戸の古橋亨梧がFKを決めたからよかったが、もしFKが入っていなかったら神戸にとって不利なVAR介入となった。だが、この場面でのVAR介入はVARの本来の役割が果たされた場面であり、完全に正当なもので、抗議すべき点はまったくない。
すなわちここで確認されたのは「PKかどうか」=反則があった場所がペナルティーエリアの中だったのか、外だったのかという点だった。そして、映像で確認した結果、反則の位置はラインのほんの少しだけ外だったためPKではなくFKとなり、また「人違い」によって提示された警告が取り消されて、反則を犯した本人である金泰煥にカードが示されたのだ(初めはPKの判定だったので「三重罰」にならないように警告だったのが、判定がFKとなったため「決定的得点機会の阻止」で退場とされた)。
問題の根本的な原因は、アジアの審判員たちが「VARはすべてのプレーに目を光らせるために存在するもので、いかなるファウルも見逃すべきでない」と考えている点にある。これまで、アジアの大会で日本チームがVARによって悩まされてきた場面のほとんどが、この点が原因だった。
日本サッカー協会としては、再発防止のためにAFCに対してVARの基準の再確認を強く申し入れをすべきであろう。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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