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プロ化以前にはオリンピックが最高の目標だった日本のサッカー界にとっても、今ではオリンピック代表の強化は悩ましい問題となっている。オリンピック世代でも多くの選手がヨーロッパのクラブで活動するようになり、オリンピック代表の強化試合のために彼らを招集することは難しくなっている。
東京オリンピックに向けて、2022年のカタール・ワールドカップを目指すフル代表の森保一監督がオリンピック代表監督も兼任することとなったが、オリンピック代表強化が思ったように進まないと「兼任は間違いだ」という批判の声も上がってきた。
そもそも、オリンピックのサッカー競技には23歳以下という年齢制限がありながらオーバーエイジ枠が認められる中途半端な大会となっているし、約2週間強というオリンピックの日程に詰め込むために中2日の強行日程となる。そして、消耗が激しい夏場の連戦であるにも関わらず、登録選手はわずか18人。FIFAが主催するU−17ワールドカップでもU−20ワールドカップでも23選手が登録できるのに、オリンピックはわずかに18人なのだ。サッカーの大会としては、条件が厳しすぎる。
また、1都市集中で開催されるはずのオリンピックの中で例外的にサッカーは地方都市でも開催される。東京大会でも札幌や宮城、鹿嶋などの6都市7会場で分散開催される。少なくとも2021年の大会では感染症対策のために人の移動を減らす必要があり、そのためにもサッカーは除外すべきなのではないか。
もちろん、参加を楽しみにしていた選手たちにとって、地元開催のオリンピックでプレーする機会を失うのは残念なことではあろうが、23歳、24歳になった選手たちにとって本来目指すべきはカタール・ワールドカップであるべきだ。
オリンピックでは、4年に一度しか日の目を見ないマイナーな競技こそ注目されるべきだ。もし、オリンピックでサッカー系の競技を行うなら中1日の連戦も可能なフットサルこそ最適なのではないか。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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