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こうした初期のJリーグを見ていても、サッカーというスポーツの本質は何も変わっていないし、試合のクオリティーという点でもさすがに日本のトップクラブ同士なので、“現在の目”から見てもまったく違和感はない。強いて言えば、当時のJリーグの難点は、両チームともあまりにもテンポが速すぎることくらいか。もう少し、落ち着いてタメを作った方がいいのではないかという場面が多々あった(もっとも、チャンピオンシップという舞台なので気持ちが入りすぎるのは当然ではあろうが……)。
時代の違いを一番感じるのは、試合そのものよりも試合の周辺、とくに審判関係だった。たとえば、「VARがあったら……」と思うことが何度もあったのだ。
VARが本格的に採用されてからほんの数年しか経っていないし、現在でもVARを巡っては賛否の意見が飛び交っている。だが、昔の映像を見ていると、VARという制度がすでに僕の心の中にすっかり定着してしまっているということを実感する。
たとえば、先日のコラムにも書いた1986年メキシコ・ワールドカップ準々決勝のブラジル対フランス戦。僕の観戦史上最高の試合だ。延長後半116分にはミシェル・プラティニの必殺のスルーパスでブルーノ・ベローヌが抜け出してフリーになった場面があった。すると、ブラジルのGKカルロスがエリアから飛び出して、手でベローヌの体を止めたのだ。当然、「決定的得点機会の阻止」で一発退場となるべきプレーだ。だが、イオアン・イグナ主審(ルーマニア)はこのプレーを見逃して、フランスにはFKも与えられなかった。
今だったら、当然、VARが発動されてカルロスは退場となったはずだ。
フランスは、実はその4年前のスペイン大会の西ドイツとの準決勝でも“犠牲者”となっていた。西ドイツ・ゴール前の空中戦でGKハラルト・シューマッハーがフランスのパトリック・バティストンに体当たりを食らわせ、バティストンは意識を失って担架に乗せられて退場したのだが、この時もフランスにはFKすら与えられなかったのだ。
こうした場面を見れば、“正義”を実行するためにVARは絶対に必要不可欠な制度だということを確信させられる。もっとも、今から20年も経って現在の試合を見返したら、VARのために試合が長時間ストップしているのを見て、「昔の(つまり、現在の)審判員はなんて手際が悪いのだろうか!」と呆れることになるのだろうが。
この10数年の間に、審判を巡ってはVAR以外にも数々の進化があった。
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