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1930年には、東京の神宮外苑競技場を中心に第9回極東選手権大会という総合スポーツ大会が開かれた。この大会は、フィリピン、中国、日本が参加して開かれた大会で(第9回大会にはインドが、マニラで開催された第10回大会にはオランダ領東インド=現在のインドネシアも参加した)、第1回大会は1913年のことだった。
日本が本格的に参加したのは1917年(大正6年)の第3回大会からで、この時、サッカーの日本代表が初めて国際試合に出場した。「代表」といっても、今のような選抜チームではなく、当時日本最強だった東京高等師範学校(東京高師)が代表に選ばれて参加した。選抜チームを作って合宿をするといった発想はなかったのだ。
対戦相手も中国は香港の南華体育会のサッカー・チーム、フィリピンはマニラにあったボヘミアンズというフットボール・クラブだった。
南華(サウスチャイナ)は、今でもACLに出場することもある香港の強豪だ。そして、ボヘミアンズにはFCバルセロナの伝説のストライカー、パウリーノ・アルカンタラが所属していた。アルカンタラはリオネル・メッシに破られるまで、通算得点数や最年少得点などの記録を持っていたバルサのレジェンドだが、スペイン人軍人とフィリピン人女性との間に生まれたハーフだった。バルセロナで活躍した後、マニラ大学医学部に通うためにマニラに住んでおり、地元のボヘミアンズで活躍していた。
日本(東京高師)は中国(南華)に0対5、フィリピン(ボヘミアンズ)に2対15と大敗を喫した。
その後、日本のサッカー界は中国とフィリピンを目標に強化を続け、1927年の第8回大会(上海)ではついにフィリピン相手に勝利を収めた(これが日本の国際試合での初勝利。ちなみに、この時の日本代表は早稲田大学)。
そして、地元開催の第9回大会では打倒中国を目指して初めて「全日本選抜」が結成されたのだ。東京帝国大学を中心に選手が選ばれ、そして石神井にあった清水組(現・清水建設)が所有していたグラウンドでトレーニングに入ったのだ。
当時発行されていた『アサヒスポーツ』という雑誌に、「日本初のサッカー記者」として知られる山田午郎が合宿を取材した記事が載っている。大会開幕2週間前の記事だ。
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