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香港戦では小川航基が久しぶりに本来のシュート技術のうまさを発揮。初代表でハットトリックという快挙を成し遂げ、オリンピック代表でのFW争いで一歩優位に立つこととなった。また、大学生として唯一招集された田中駿太は、スリーバックのセンターで先発して堅実なプレーで守備を統率したかと思うと、後半の途中でポジションを上げてボランチに入ると攻撃的でチャレンジングなパス出しを披露。それまでの堅実なプレーから、思い切った攻撃的なプレーへの変化は驚くべきもので、まるで同じ背番号「3」の選手が2人いるかのような印象だった。
この試合のボランチでは田中碧が先発し、途中から田中駿太がポジションを上げたわけで、2人の田中のボランチ争いも面白くなった。
いずれにしても、日本代表にとっては「若手の起用」という明確なテーマを決めて大会に臨んだことが成功に結び付いたようだ。ちょっと悪い言葉で言えば、日本代表はこの大会をうまく利用したわけだ。最近、森保監督がU−23代表と兼任していることに対して否定的な論調が多くなっているが、この「E−1選手権」では兼任監督であることのメリットが大きかった。
「E−1選手権」という大会の面白さは、女子の大会が同時に開催されることだ。
日本女子代表も開幕から2連勝。最終の韓国戦の結果によっては男女同時優勝も可能な状況となっている。しかも、女子は初戦の中国台北(台湾)戦が9対0。中国戦が3対0と大量得点を挙げ、無失点と順風満帆のようにも見える。
だが、僕は女子代表の試合内容についてはかなり心配になっている。
2連勝はチーム力の差によるものであって当然の結果だ。9対0で大勝した中国台北は日本人の越後和男監督が率いているが、越後監督によれば選手たちは普段は働いていてトレーニングは週に1回。それも、各自がバラバラにとレーニングをするだけなのだという。世界のトップを目指すなでしこジャパンにとって、勝利はあまりにも当然の相手だ。
そして、中国戦は岩渕真奈のハットトリックによって3対0で勝利したものの、中国のパワフルなプレーに押し込まれてピンチを招く時間帯もあった。新しい選手も使っていたのである程度は仕方のないことだが、DF同士あるいはDFとGKの連携が悪く、シンプルなロングボールで中国にチャンスを作らせていたのだ。
若手を多数起用した男子代表と違って、ヨーロッパ組の熊谷紗希を除いてほぼベストメンバーで臨んでいるだけに、中国のパワーに苦しんでいる物足りない。目標である東京オリンピックで対戦する世界の強豪は中国以上にパワフルで、中国よりもテクニックのある相手ばかりのはずだ。
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