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そもそも、ブラジルは今年のFIFA U−17ワールドカップの南米予選で敗退していたのだ。それが、開催国だったはずのペルーの準備不足によって開催地がブラジルに変更となり、そのため一転して開催国として出場することになったのだ。
まさに、フットボールの神様があらゆる意味でブラジルに微笑んだと言っていい。
一方のメキシコは、実に粘り強い戦い方で決勝まで勝ち上がってきた。決勝戦でも、ブラジルにある程度攻め込まれるのは織り込み済みといった戦い方で、途中でシステム変更をしたり、選手の並びを変えたりしながら、攻めさせてはいてもチャンスは作らせないというノラリクラリとした戦いでブラジルを追い詰めた。そして、66分に左からのルナのクロスをブライアン・ゴンサレスが叩きつけるようなヘディングでボールをバウンドさせてゴールに捻じ込み、1点を先制するという試合巧者ぶりを見せた。
ブラジルとは対照的に、メキシコはグループリーグは1勝1分1敗の3位で通過。準決勝もオランダと引き分けと、まさに粘り強く戦ってようやく決勝にたどり着いた。
3位でグループリーグを勝ち抜けたのも、グループリーグ最終戦でソロモン諸島に8対0というスコアで勝利したことによって得失点差を+7としたことによるもの。“大会最弱”のソロモン諸島と同じグループに入って、しかもそれが最終戦だった(つまり、何点必要かを計算しながら戦える)という幸運によるものだった。
もちろん、決勝トーナメントに入ってから、しっかりとチームとしてまとまって勝ちぬいたのは称賛に値するが、ブラジル、メキシコともに決勝に進出できたのにはそれぞれ大きな幸運によるものだった。
つまり、FIFA U−17ワールドカップは「いかに実力が接近した大会だったか」ということ。決勝トーナメントだけを見れば、フランスが総合力でベストチームだったように思えるが、それでも、ちょっとした運、不運で結果はひっくり返ってしまうのだ。
ベスト4に残ったのは南米と中北米が各1カ国、そしてヨーロッパ勢が2カ国。メキシコも含めて、サッカーの伝統国がしっかり残った。前回大会の決勝戦がイングランド対スペインと、ヨーロッパ同士の対戦となったことでも分かるように、このところこの年代でもヨーロッパの勢いが増している。かつてヨーロッパでは「この年代はまだまだ育成」と考えられていたのだが、このところヨーロッパ各国で10歳代でトップデビューする若手選手が増えており、早い段階から大人の選手と同レベルの戦術的訓練をするようになったのだろう。
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