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たとえば、ウルグアイ。僕はノルウェーとの試合を観戦したのだが、この試合の前半のウルグアイはまさに完璧と言える内容だった。4−3−3で中盤の底に位置するニコラス・アセベドの配給で前線を走らせるのだが、とくに右サイドのブライアン・ロドリゲスのドリブル突破が強力な武器。そして、ウルグアイの伝統とも言えるセンターバックの守備は堅固であり、DFのロナルド・アラウーホからは正確なフィードボールが前線に配給される。地味ではあるが、ハードワークを厭わず、勝負に徹したチームだった。もっとも、後半に入ってノルウェーが両サイドバックを高い位置に上げてツーバックの形にして押し込んでくると、ウルグアイもパスの精度が落ちてしまったのだが……。
大会の3日目にポーランドの北端に位置するグディニアで日本対メキシコ戦を見た翌日には7時間44分かけて、ポーランドの南端のビエルスコ?ビャワに移動した。日本のガイドブックはもとより、詳しい情報が載っているのでいつも愛用している『ロンリー・プラネット』のガイドを見ても載っていない地方都市だが、かつてはオーストリア領だった時代も長く、なかなか風情のある街で、平地ばかりのポーランドにあって山に囲まれた景色を見るのは新鮮だった(冬はスキーリゾートになるようだ)。
長時間をかけての移動ではあったが、十分にその時間と労力に値した。というのは、ポルトガル対アルゼンチンの試合は今大会のグループリーグ屈指の好カードであり、実際、インテンシティの高い90分の戦いは見ごたえのあるものだった。
試合はシュート数でポルトガルが18、アルゼンチンが11。内容的には90分を通してポルトガルが攻め続けた試合だった。中盤の底でゲームを操るフロレンティーノ・ルイス、左サイドの攻撃的MFのゲジソン、右サイドのミゲル・ルイスと3人のMFが中盤を支配。両サイドアタッカーと両サイドバックが左右にワイドに開いて、ピッチの幅をいっぱいに使って攻める攻撃は迫力があった。
だが、アルゼンチンのしたたかさがそれを上回った。サイドを使ったポルトガルの攻撃を見切って、サイドではボールを持たせた上で中央を固めて猛攻を跳ね返し続ける。なんと言ってもその立役者はGKのマヌエル・ロフォ。反応良く相手のシュートを処理し。そしてパンチングが実にうまい。パンチしたボール、あるいはスローイングしたボールがそのまま前線に繋がってカウンタ—の起点になることも何度もあった。実際、アルゼンチンの先制点もロフォが蹴ったゴールキックからつないだものだ。決めたワントップのアドルフォ・ガイチも単独でボールを運べるすばらしいFW。しっかり割り切って守ってカウンタ—とセットプレーで点を取って勝つというタスクを完璧にこなしたアルゼンチン。リードしてからは、あからさまな(それでいてイエローカードにはならない程度の)時間稼ぎやシミュレーションも織り交ぜて、ポルトガルを退けたあたりはいかにもアルゼンチンらしかった。
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