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そして、これまでの試合の分析の中から、日本チームとしてはまったく予想していなかった相手の陣形だったそうだ。すぐに、ベンチの影山雅永監督から選手にポジショニングの指示が飛ぶ。しかし、選手たちはまったく慌てた様子はなかった。相手の出方を観察し、10分ほどのうちにはポゼッションで上回ることによって相手の意図を消してしまった。
しかも、18分には、そのMFのうち右サイドを使っていたロベルト・メラスが足を痛め、日本が1点を先行した直後の24分に交代してしまう。これによって、メキシコの戦術的な意図はぼやけ始め、最終的には普通の4−4−2の形に戻ってしまった。つまり、メキシコの戦術的な奇襲はまったく功を奏さなかった。日本代表の切り替えの速さ。とくにボールを失った後のリカバーの早さのおかげで、メキシコにはほとんど形を作らせなかったのだ。
メキシコは、仕方なく最終ラインからのロングボールを使ってきた。
これも、彼らとしては準備してきた形だったのだろうが、日本のストッパー、小林友希と瀬古歩夢がヘディングで競り勝ったため、そのうちメキシコのロングキックの精度自体が落ちてしまった。
日本がしっかりパスを回せるようになったのは、メキシコ戦で初出場となった藤本寛也の存在も大きかった。エクアドル戦で調子の悪かった伊藤洋輝に代わって出場した藤本。選手と選手の間の小さなスペースを見つけては、そのスペースを利用してフリーで受けて、バスのリズムを作っていく。初戦でも頼りになる動きを見せた斉藤未月と2人で作る中盤は圧巻だった。
さらに、最終ラインの安定感も素晴らしかった。ロングボールを跳ね返すだけでなく、4人のDFは相手のドリブル突破に対しても、相手のサイドチェンジにも、きちんと複数人で対応し、ほとんど危ない場面は作らせなかった。
U20ワールドカップは、すでに各チームが1試合ずつを戦ったが、これまで見た中で守備力だけを取り上げれば日本は間違いなくトップクラスに位置する。各国とも攻撃には迫力があったとしても、守備が安定していたのはノルウェーを3対1で破ったウルグアイくらいのものだった。
「サッカー頭」に関して言えば、1点をリードしてからの落ち着いた戦い方も素晴らしかった。追加点を狙って調子に乗って攻め急ぐこともなく、リードを守るために守備に入るわけでもなく、落ち着いて相手のやり方を見切って、リスクは背負わないで2点目、3点目を狙い、実際セットプレーとGKからの縦へのボールを素早くつないで、点差を広げて相手の戦意を喪失させてしまった。
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