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実際、ようやく後半に入って日本が仕掛けていくと、案の定、相手の守備に綻びが生まれる。PK失敗でナーバスになっていたエクアドルの選手たちはメンタル的に追い詰められていく。そして、68分、やはり相手のDF陣がゴール前で混乱に陥ったところを山田康太がループ気味に押し込んで同点とした。
相手の混乱に乗じて追加点を奪って逆転勝利の可能性もあったので、引き分けに終ったのは残念だが、これだけ拙い試合をしながら、相手の硬さに乗じて勝点を奪えたのだから、ポジティブに考えるべきだろう。
勝点1の日本は、この後メキシコ、イタリアと戦うのだが、初日の日本とエクアドルの試合より前に行われた試合ではイタリアがメキシコを2対1で下している。
開始3分で先制ゴールを決めたイタリアだったが、その後、しばらくすると構えた守りに入ってしまい、逆に相手の攻撃を活性化させてしまった。後半に入ると、どちらもミスが増えて難しい試合になってしまった。イタリアとしても、勝ちはしたものの、とても満足のできる内容ではなかったはずだ。
つまり、このグループは4チームすべてが初戦で思った通りの内容でなかったということになる。「何も終わっていない」という表現がよくつかわれるが、初日を終わった時点では、4チームとも「何も始まっていない」というのが現状であろう。
硬くなってしまった原因。相手をリスペクトさせてしまった原因。そんな不安要素を払拭して、早く通常の力を出せる状態になったチームがこのグループを勝ち抜くことだろう。精神的なリカバリ—。そして、硬さを生んだ具体的な理由の追求。選手たちの気持ちを解放させるマネージメントの勝負でもある。
影山雅永監督の、持ち前の明るさがその方向に働くといいのだが……。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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