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それにしても、一部の不届き者はなぜ肌の色だけで他人種を否定するのだろうか。ナポリのカリド・クリヴァリが執拗なモンキーチャントに怒り狂い、分別のあるカルロ・アンチェロッティ監督も「もう我慢の限界だ。次は試合を中断する。試合放棄と判断されても構わない」と語るほど、異常なムードだったという。こうした経緯もあり、クリヴァリは今シーズン限りでイタリアを離れる決意を固めたようだ。当然、彼に続く者も現われ、セリエAはレベル低下を招く。フランス代表やリーズで活躍したオリビエ・ダクールも、「とあるフランスのスター選手が、差別に不快感を抱いてセリエA移籍を拒否した」と証言している。
いや、イタリアだけではない。イングランドでもスペインでもドイツでも、そして日本でも、いやいや世界中で差別が目撃され、報告されている。SNSに軽率な投稿をし、慌てて削除しても弁解の余地はない。
「モンテネグロ戦でも人種差別のチャント、行為があった。今後もこのようなことが続くのなら、われわれは試合のボイコットも辞さない」
イングランド代表キャプテン、ハリー・ケインは意を決しているように見えた。勇気のあるコメントだ。アンチェロッティ監督に続き、白人がここまで踏み込んだ例はほとんどない。かつてのフランス代表で、ユベントスやパルマでも名DFとして鳴らしたリリアン・テュラムは、「白人選手、監督が声を上げてくれると、差別は少なからず減少するかもしれない」とつねづね語ってきたが、世間に大きな影響力を持つスーパースターがケインに、アンチェロッティ監督に続かなくてはならない。不快な問題を解決する糸口は、現場にある。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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