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現在UAEで行われている2019年大会でもオーストラリアが初戦でヨルダンに敗れたり、韓国がフィリピンに苦戦したりと強豪が苦しんだ。日本も5連勝でベスト4に勝ち上がってきたが、一つひとつの試合を見るとトルクメニスタンやオーマン、ベトナムといった格下に思わぬ苦戦を強いられている。
そういった現象を見ると「アジアのレベルも上がっている」という常套句が頭をよぎるかもしれない。だが、アジアカップでの「5強(もしくは4強)」の苦戦は、何も今回に限ったことではないのである。
アジアカップでの強豪国の苦戦の原因。それは、一言で言えば「準備不足」の一言に尽きる。
たとえば、準々決勝で敗退したオーストラリアは登録23人中、オーストラリア国内でプレーしている選手はたった1人だけ。他は、ヨーロッパ各国リーグやJリーグのクラブでプレーする“海外組”だ。全員が集合して合同トレーニングをする暇もなく大会に突入してしまったおかげで、コンディションも万全ではなかったし、戦術の浸透も十分でなかった。日本や韓国も同様だ。そして、3か国ともワールドカップ終了後に新監督が就任しており、アジアカップが1月に開催されたため、チーム作りも十分に進んでいなかった。
これに対して、サウジアラビアは全員が国内組。イランも国内組をベースに海外組が何人か入る構成だったし、両国ともロシア・ワールドカップを戦ったチームをベースに監督も交代していない。
そして、ワールドカップ出場権を獲得できなかったチームは、このアジアカップを目標に予選から同じ監督の下で戦ってきており、この大会のために十分な準備期間を経て参加しているのだ。彼らにとっては「アジアカップ」というのは大きな目標なのだ。たとえばベトナムがアジアカップで日本と戦うというのは、日本人にとって「ワールドカップでベルギーと戦う」のと同じくらいのビッグマッチなのだ。
それでも、日本はベスト4まで勝ち残り、韓国もオーストラリアも準々決勝で敗れたものの、内容的には優勢に試合を進めていた。アジア大陸では、「5強」の寡占状態がこれからも続くのではないか。
4年後のアジアカップは韓国開催が濃厚で、開催時期も1月ではなく6月となる見通しだ。6月開催となれば、強豪国も“海外組”を含めた合宿を組むことができるし、新監督の下でチーム作りが進んだ状態で大会を迎えられる。そうなれば、アジアカップでも「5強」が上位を独占する可能性がある。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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