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4月8日。高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦。スタメン表には3年生になったばかりの橋本の名前が書き込まれていた。ポジションは本職だったセンターバックではなく、右サイドバックに変わっていたが、「“バック”なのでヘディングは負けないように意識して」必死にタスクをこなし続ける。終わってみれば前年王者のFC東京U-18に4-0と快勝。以降のリーグ戦。出場停止の2試合とメンバーを大きく入れ替えた最終節を除いて、全てのゲームで橋本は右サイドバックとして、ピッチに立ち続けることになる。
実は“出場停止”は、リーグ戦と別の大会が影響していた。進境著しい埼玉の昌平と対峙したインターハイ2回戦。青森山田は2点を先制したものの、まさかの3失点で逆転を許してしまう。そんな後半のアディショナルタイム。焦りからか、あるプレーに対して異議を唱えた橋本に、主審が提示したのはレッドカード。いわゆる“暴言”による一発退場。下った処分がリーグ戦での2試合出場停止だった。
それでも黒田監督は180分間の“みそぎ”が解けた一戦で、再び橋本をスタートから右サイドバックの位置へ送り出す。かつて『もういらない』と言われた男は、指揮官からの確かな信頼を勝ち得るまでに成長していた。逆サイドでチームの最終ラインを共に担ってきた豊島基矢は、橋本についてこう語ってくれている。「峻弥は全然変わりました。自分も結構低い方なんですけど、1,2年生の頃の峻弥は群を抜いて意識が低い方だったのに(笑)、新チームになってからはスタメンとしての自覚が芽生えて、意識改革がしっかりできていたので、峻弥は欠かせない仲間です」。
1月12日。高校選手権準決勝。2年前にはスタンドから見つめていた埼玉スタジアム2002の芝生へ、橋本は足を踏み入れる。「高速道路から埼スタが見えた時はデカくて、本当に緊張したんですけど、ピッチに入ってみたら意外と今日は視野も広かったんです」。尚志に先制点を奪われ、いったんは勝ち越しながら再逆転される展開の中、「失点しても全然負ける気がしなくて、チームを信じて、仲間を信じることができました」と橋本は90分間を振り返る。
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