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決勝のスペイン戦はかなり苦しい試合で、とくに前半はほとんどの時間をスペインが支配し、何度か決定機もあった。そんな中で落ち着いて試合を進められたのは南と高橋の両CBとGKのスタンボー華への信頼感があったからこそだった。 「0対0で終われば上出来」といった内容だったスペイン戦の前半。それでも日本は1点をリードして折り返すことに成功。それが、後半立ちあがりの連続ゴールにつながった。3点差とした後はスペインのパワープレーに押し込まれながらも、やはりCBがしっかり守りきった。
スペイン戦の前半のその値千金のゴールは宮澤ひなたのミドルシュート。ペナルティーエリア外からでも積極的に狙う姿勢が生んだ見事なシュートだった。 これも、従来の、とかく「シュートを撃たない」と言われ続けていた日本サッカーのイメージを変えるもの。大会初戦のアメリカ戦でも、相手に支配される時間が長かった中で、林穂之香が遠くから狙ったシュートが決勝ゴールとなった。シュート技術さえ上がれば、そして積極的な姿勢を見に着けさえすれば、日本人だって当然シュートを撃つ。シュートを撃って、得点を奪うことはなにしろ楽しいことなのだから……。
もちろん、U-20ワールドカップは育成段階の大会。この素晴らしい優勝をフル代表につなげていかなければ意味はない。女子のフル代表は、現在アジア大会で戦っており、U-20が優勝した翌日の試合では「事実上の決勝戦」とも言える北朝鮮戦で勝利を飾り、ベスト4まで駒を進めている。
そして、女子ワールドカップは来年の夏にU-20ワールドカップが開かれた、同じフランスでの開催となる。フル代表の本格的なチーム作りはまだ始まっていない。当然、U-20 代表からも何人かはフル代表に選出され、新しい刺激を与えてくれるはず。良いイメージを持ったフランスという地で、若い女子代表選手たちが再び輝く可能性もあるだろう。 アジア大会に参加している女子代表も、また苦戦を続けている男子のU-21代表も、さらに勝ち進んで行ってほしい。寝不足は、辛いのだけれども……。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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