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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第20ステージ】ヒンドレーが遂にバラ色の衣を纏い、アレッサンドロ・コーヴィがチーマ・コッピの王に「凄まじいステージだった」(ヒンドレー)
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「予定外の逃げに乗った後、ケムナには最終峠まで前に留まるよう指示が出ていた。それにしても1日中逃げた上に、好タイミングで前集団から脱落し、さらにはレースの極めて重要な場面で物凄くハードに僕を引っ張ってくれたんだからね。本当にすごい仕事を成し遂げてくれた」(ヒンドレー)
勢い良く山を駆け上がってきたエースを後輪に従えると、ケムナは勇敢に牽引を開始した。勾配の厳しいマルモラーダの中でも、1kmに渡り平均13%近い勾配が続く最も厳しいパートだった。残り3kmのアーチをくぐり抜けると、最大18%ゾーンも待っていた。まさに、その場所で、カラパスがわずかに遅れ始めた。
ヒンドレーは異変を見逃さなかった。ケムナの後輪から飛び出すと、ためらわずに加速を畳み掛けた。マリア・ローザを置き去りにして、山頂へとひとり飛び立った。
「カラパスが脱落し始めていると知って、モチベーションが高まった。ラインまでとにかく全力で走った」(ヒンドレー)
後に残されたカラパスには、もはや体制を立て直すための体力も気力も残っていなかった。しばらく後輪に張り付いていたケムナに、ついには打ち捨てられ、一度は置き去りにしたはずのランダにさえ、途中で追い抜かれてしまった。フィニッシュラインギリギリまで踏み抜いたヒンドレーから、1分28秒遅れで、苦悩の3kmを終えた。
これまで19日間走り続けてきて、この日の朝までわずか3秒差で競り合ってきた2人の立場が、大会最終日前夜に入れ替わった。カラパスは6日間のピンク色の日々を閉じ、2位に後退。ヒンドレーは今大会初めてカラパスの順位を上回り、すなわち自身にとって2枚目のマリア・ローザを身にまとった。
ただし1回目はわずか15.7kmの間しか着ることができなかった。2020年ジロでも、第20ステージの終わりに、このばら色の衣を手に入れている。総合2位とのタイム差は「0」で、翌日の最終タイムトライアルの終わりには、39秒差の2位に後退していた。
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