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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第20ステージ】ヒンドレーが遂にバラ色の衣を纏い、アレッサンドロ・コーヴィがチーマ・コッピの王に「凄まじいステージだった」(ヒンドレー)
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか今ジロの屋根、標高2239mの高みを目指して、ポルドイ峠の山道を上り始めた直後だった。この3週間、文字通り連日プロトンを引っ掻き回し、たくさんのワクワクを届けてくれたマチュー・ファンデルプールが、今大会6度目の……そして最後の逃げから静かに脱落していった。
なによりこのポルドイの序盤で、大胆に飛び出していったのがコーヴィだった。山頂まではいまだ9kmと遠く、フィニシュまでは53.7kmも残っていた。
1人で逃げるアレッサンドロ・コーヴィ
「僕はクライマーじゃないから早めに飛び出したんだ。最後の山を待っていたら、絶対に勝てないことは分かっていた。30秒でもいいから差をつけたい。下りを全力で飛ばしてさらに1分に開けば、僕にとっては悪くない。そう考えていた」(コーヴィ)
そんなコーヴィの読みは完全に外れた。なにしろ今大会最高標高地点では、30秒どころか、なんと逃げの友たちに1分25秒差もつけてしまった!
8人に小さくなった集団は、まるで連携が取れなかった。コーヴィと同僚のフォルモロを、誰もが警戒した。チッコーネやテイメン・アレンスマンは相互監視でがんじがらめだった。ケムナやノヴァクはもちろん、追走以上に大切な使命を抱えていた。つまりコーヴィのアタック時にあっさり千切れたはずのバッレリーニが、山頂から30kmも続いた長いダウンヒルの果てに8人をとらえてしまったほど、追走スピードは上がらなかった。
その長い下りで、コーヴィはさらに1分を付け足した。全長14kmの最終峠マルモラーダに上り始めた時点で、追走集団に約2分半のリードを有していた。
メインプロトンに対しても、いまだに6分も差を保っていた。ポルドイの上りでも、下りでも、総合勢は一切の動きを見せなかった。カラパスは前日そもそも「ラスト5kmが勝負」と口にしていたし、ヒンドレーも「最終峠を忍耐強く待った」。バーレーンが延々と先頭を引いてはいたものの、実はスタート時から体調が思わしくなかったというランダは、「チームメートにスピードアップを命じなかった」という。
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